第3話 大王みたいな話③ 幸運
小学校登下校中、何度もセーヌ川に運を落とした。
その運は聖水に浸かり流され砕け、魚たちのエサとなった。
セーヌ川で鮒釣りをしている紳士を見ながら、幸運を祈った。
ユベントスサッカークラブに入会したころ、グラウンドには幸運にもトイレが無かった。
極限まで我慢し右往左往した後、駐車場隅にあった焼却炉前で運を落とした。
マラドーナのような風貌の監督に、練習態度のことでこっぴどく叱られたマテラッツィ(以降:マテ)は、焼却炉の前で泣いていた。
私は観客席から、彼の行動を観察していた。
マテは、周りの人間に慰めて欲しかったのか、地団太を踏んでいた。
マテは泣きながら私の落とした幸運をジダンだした。
マテは泣き止み、私たちがいるグランドに駆けてきた。
「運を踏んで・・運を踏んで・・しまった!ジーザス!」
反省なのか、嫌悪なのかよく分からない表情でこちらに来た。
私は反省のない彼の表情を察知して、猛ダッシュで腹部を頭突きした。
「ジズー」マテは唸った。
倒れたマテの靴底には、私の運がまだついていた。
皆でその運を食い入るように見つめた。
体内に溜められた運は体の外に出た瞬間から「特別な運」となる。
神々過ぎて、人々は接し方を間違える。
「間違えたっていいじゃないか、くそやろうだもの。」
AM5:30
くそやろう様に起こされた
※意味が分からない方はくそみたいな話①をご覧ください
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