第7話 計画

 それから空と男はお互いの持っている情報を共有し合った。


 要となるのは二つ。


 どのように空達が一日を過ごしているのか。


 そしてシスターの動きはどのようになっているのか。


 二人が話し合った結果共通の理解として浮かび上がったことが基本的には警備は厳しくはないということ。


 そもそも子供たちに「逃げる」という行動を選択する意思が出ないような教育が施されているため、自由に行動が取れる。


 しかしやっかいなのは位置情報が知られているために、逃亡をバレずに逃げるということが困難だということ。


 そして逃げた前例がないために、どのような対処がとられるのかわからないということが作戦を組みにくくさせていた。


 男の話によると教会を北西に進むと唯一の出入り口があるという。


 遠くに行ったことがバレ、追いかけられたとしても十分にたどり着くことができる距離だという。


 しかし内側からは鍵がないと開けられないようになっており、塀もかなり高いために上ることは不可能だという。


 それゆえ、カギを盗む必要があるが、空か海が盗むという案は、外での行動以上に教会内の怪しい動きはシスターに感づかれる可能性が高いため、却下となった。


 そこで男の提案として、一人仲間を侵入させるということだった。


 シスターならカギを取るのが容易だし、渡すのも問題ない。


 空と海のどちらかが受け取り、別行動でばれないように門のところで落ち合い、抜け出し、南の方に歩いてくと森があるので、そこを進んだ先の湖で男と待ち合わせるということになった。


「おし、決まりだ。そろそろ私も戻らなけらばならないから妹には話しておくように」


 男はそう言うとシスターのふりをする仲間の目印を伝えると、カツラをかぶり、部屋を出ていった。


 空は男が部屋から出るのを確認すると、緊張感から解放され、その場で腕を組み、ため息を吐いた。











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