第4話真っ赤な口紅②
正直、少し驚いた。おじさんバンドがバラードの名曲カバーを歌い終わったあと、鈴川さんの彼女がボーカルをつとめるガールズバンドが入れ替りのためにセッティングをしはじめた途端、後列の女の子が前に行ってポジション取りに火花を散らす、この光景に。
「女の子からほんとに人気あるんだね、すごいね、私たちも前に行く?」
「うん、でもあんまり目立たない位のとこね~」
「石野君達も前くる?」
「オレ達は後ろでまったり見るよ」
ライブハウスの照明に照らされて、真っ赤な口紅の映える鈴川さんの彼女がボーカルとして切ない歌詞の恋の歌を3曲程歌い上げる間、前に集まった女の子達はとろけるようだったり、強い眼差しでボーカルを見つめる。
もちろん鈴川さんも
『彼女のバンド、彼女のガチ恋の女の子が多いの~、だからあたしが彼女ってライブハウスでは内緒だよ~』
そんな風に鈴川さんが会場に来る前のハンバーガー屋で言っていたのは鈴川さんの恋人への下駄じゃなかったんだな。
同時にこんな風に鈴川さんの視線を一人占めできるボーカルの彼女のことを何故かうらやましい、そう思う。
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