第14話 予想外の強さ

大泉先輩の計画は壮大だ。

どの様な計画かと言うと俺と秋田と山口の3人を親密にする。

そしてただ楽しく部活動がしたいという。

何故そこまでしてくれるかというと.....大泉先輩はこう言った。


『私と同じ目をしているからな。君は。同じ目に遭ってほしくないんだと思う。それに君達のせっかくの恋心を無駄にはしたく無い』


と、だ。

それはつまり.....俺に絶望の道を歩んでほしくないと思っているのだろう。

俺は思いながら大泉先輩を見る。

大泉先輩はマスコットキャラクターの山口にポーズを取らせていた。

山口はゲームをしないので.....この様に活躍してもらうのだ。


「.....良かったわね。山口さん入ってくれて」


「お前も安心したんじゃないか。入ってくれて」


「.....そんな事無いわ。私と彼女は敵対しているの。今もその。.....貴方を巡って」


「.....そ、そうですか.....」


かなりこっぱずかしいのだが。

思いながら俺は赤面しながら頬を掻く。

だが秋田は直ぐに、でも、と言葉を発した。

それから俺を柔和に見上げてくる。


「確かに貴方を巡ってだけどその中でもいい戦友よ。あの子は」


「.....そうか。そう言ってもらえて良かったよ。仲良くしてやってくれな。山口も何だか複雑な事情を抱えているみたいだから」


「.....そうだったわね」


「.....ああ。以前聞いたけどな。何だか.....複雑そうだった。妹さんからも聞いたけど」


「.....そうね。だったら仲良くしてあげないと」


思いながら俺達は魔法のステッキを持ってポーズをとっている山口を見た。

しかし思ったけどこれ何の意味が有るんだ?

何に使うのか?

思いながら大泉先輩に聞いてみる。


「これって何か使うんですか?写真」


「半分は私のこれ.....じゃない。勧誘に使う」


「.....今コレクションって言い掛けましたね?」


「そんな事は無いぞ。大丈夫だ」


いや、大丈夫じゃねーよ。

思いながら俺は額に手を添える。

それから盛大に溜息を吐きつつ.....山口に聞いた。


大丈夫かお前、的な感じで、だ。

すると山口はニコニコしながら、楽しい、と答えた。

あ、そうですか.....。


「楽しいなら一番だが」


「はい。先輩」


「でも変なポーズ取らされたら言えよ。お前」


俺の言葉に山口は?を浮かべつつも、はい、と答えた。

すると大泉先輩が俺を見てくる。

それから眉を顰めた。

そしてこう話してくる。


「私を何だと思っている。そんな事は.....しない」


「いやいや、なぜ間が開くんですか。大泉先輩」


間が開いたぞ。

いかんぞ。

思いながら俺は大泉先輩をジト目で見た。

大泉先輩は何か誤魔化す様に立ち上がって咳払いをする。


「それは良いが.....君達は遊ばないのか。ゲームで」


「.....ああ.....いや、その」


「.....?」


「やはり学校でゲームってのは少しだけ控えたい部分が.....」


「別に君はポルノサイトをこのパソコンで見る訳では無いだろう。ウイルス感染しないのだったら大丈夫だ」


アンタは俺を何だと思っている。

そ、そんな事無いし。

思いながら秋田と山口を見る。


山口も秋田もドン引きしていた。

俺がそんなサイトを見る顔をしているのか?

何だか不安になってきたんだが。


「さて、冗談は置いて。大丈夫だその辺りは。私は上手くやるから」


「本当ですかね.....」


「信用出来ないのかね?では私がゲームをやったら信頼するかね」


「.....大丈夫です。分かりました。そこまで言うならやってみます」


秋田を見ると納得して早く触りたい的な感じをしている。

俺はその様子を見ながら少しだけ苦笑しつつ。

ゲーム画面を開いてみた。

すると.....山口が覗き込んでくる。


「やってみるか。山口」


「何だか壮大ですね。面白そうです」


「じゃあ俺のアカウントでやってみればいい。それで楽しかったらアカウント作ればいい」


「良いんですか?あかうんとって大切なんじゃ」


「.....別に山口が触るぐらいなら構わない。良いよ」


「じゃ、じゃあお世話になります」


そして山口が狩りをやってみている。

俺はその姿を間近で見ながら顔を上げると。

そこには少しだけ羨ましそうな顔をした秋田が居た。

俺の傍で狩りを一生懸命やっている山口を見ながら、だ。


「秋田?」


「.....な、何でも無いわ」


「.....?」


「修羅場だな。ハッハッハ」


「いやいや。大泉先輩.....」


軽いな。

思いながら俺は額に手を添える。

すると.....山口が一人で大型モンスターを狩ってそのまま勝っている姿が見えた。

俺は驚愕する。

それから山口に聞いた。


「あれ、結構難しいんだけど.....よくやったなお前」


「はい。.....何だかモ○ハンに似ていました。楽しかったです」


「.....いやー。マジか」


「私、才能ありますか?先輩。アハハ」


ああ、っていうか。

秋田も大泉先輩も驚愕していた。

何故かといえば.....そのモンスターは一人ではそんな簡単に狩る事は出来ないモンスターだったから、だ。

才能があるって事か?これ。

思いながら俺は鼻歌交じりの山口を見ていた。


「先輩。これは楽しいのでアカウント作りたいです」


「.....お、おう。お前が来たらかなりの戦力にはなりそうだな」


「はい。宜しくお願いします」


俺は苦笑しながら。

みんなも苦笑いを浮かべている。

そして俺はアカウントを作り始めた。

すると山口は、可愛く作って下さい、と笑顔を見せてくる。

俺はその言葉に、ああ、と答えた。


「しかし流石は私が見込んだ少女だな。ゲームもこんなに得意とは!アッハッハ!」


「そんな事を見込んでいたんですか.....」


「当たり前だろう。こういうのまで見据えないと誘わないさ」


そして大泉先輩は笑顔を見せる。

俺と秋田は顔を見合わせながら盛大に溜息を吐く。

それからまた苦笑しながら大泉先輩を見た。

すると大泉先輩は顎に手を添える。


「時に君達二人はもうデートとか考えているのかね」


「ぶふぁ!」


「せ、先輩!」


秋田は真っ赤になりながら委縮する。

山口も少しだけ赤面で俯いた。

俺は噴き出す。

いきなりだな!?


「正直言って私は修羅場も好きでね。だから.....こういう泥沼は私の好物なのだよ」


「いい加減にして下さい。泥沼じゃ無いです」


「おや?泥沼じゃ無かったら何だというのかね」


「私達は戦友ですよ。大泉先輩」


大泉先輩は見開いた。

それから、ほう?、と俺達をニヤッとして見てくる。

戦友とは?、という感じで、だ。

秋田と山口は頷き合う。

それから俺を見てから大泉先輩を見た。


「確かに山彦君を巡って戦っています。でも.....お互いに卑怯な手は使わないでいきたいんです」


「.....そうか。.....菜穂と香織は考えているのだね。色々と」


「はい。でもどっちが魅力があって勝負するかは変わって無いです」


「.....ハッハッハ。そうなんだな。.....うん。それが一番だと思うね」


「.....大泉先輩は恋をした事は無いんですか?」


私は.....恋か。

と少しだけ顔を顰める大泉先輩。

そういえば確かにそうだ。

何故かといえば大泉先輩はかなり告白されているから、だ。

俺は少しだけ大泉先輩を見る。


「.....私はこれといって自由な恋愛はした事は無いね。それにさせてくれない。まあ私の事なんてどうでも良いさ。.....だから君達の恋愛を見るのが楽しいんだ」


大泉先輩は苦笑しながらその事を誤魔化した。

やはり.....大泉先輩の家は家庭なんだな、と思う。

俺は思いながらそこからは何も聞かずに。

そして秋田も山口も何も聞かずに身を引いた。


「さて、しんみりした話は良い。取り敢えず菜穂と香織は.....戦友として君を大切にしている訳だな?.....じゃあ私は心から応援しよう」


「.....相変わらずですね。大泉先輩は」


「私は.....弱い人を基本的に応援するからな。私は強い人が極端に苦手なのでね」


「.....」


俺は聞きながら.....大泉先輩の苦笑いを真剣な顔で伺う。

そして.....俺は.....顎に手を添える。

それから大泉先輩を見る。


「有難う御座います。大泉先輩」


「.....何がかね?」


「励みになります。言葉が」


「.....こんな私の言葉で励みになるのかね」


「なりますよ。先輩の言葉は貴重です」


それから俺は笑みを浮かべる。

その様子に大泉先輩は見開きながらも、そうか、と答えてくれた。

どんな言葉でも大泉先輩の言葉は好みに響くのだ。

思いながら俺は.....大泉先輩を見た。


「私の活躍の言葉は消される事が多いんだが.....君は違うんだな」


「.....!.....ですね」


「.....そうなんだな。.....アッハッハ」


「.....」


俺は大泉先輩に笑みを浮かべた。

それから.....秋田と山口を見てから。

外を少しだけ見た。

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ネットで知り合った男友達とオフ会で会う事にしました。しかし会ったのはクラスの冷徹な美少女でした。.....何で!? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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