第12話 eスポーツ部創設

山口も秋田も大泉先輩も俺も。

みんな戦っている。

そんな感じのするついこの頃だ。

俺は思いながら外の景色を眺める。


今日は嫌な思いをした。

俺は.....発達障害ゆえに言葉が出て来ず。

馬鹿にされる事が多々ある。

その為に今日も.....かつてのリア充に馬鹿にされた。

俺は首を振りながら女子達と話している秋田を見る。


そんな悩みの中で秋田が.....ユウキが。

俺の前に立ちふさがって助けてくれたのだ。

俺は秋田には感謝しか無いと思っている。

それから.....秋田に申し訳ない気持ちもあった。


「.....」


申し訳ない気持ちってのは。

嫌な思いをさせてしまったな、という気持ちだ。

俺は少しだけ眉を顰めながら目の前を見る。

そうしていると.....校内放送があった。


『2年生、秋田。そして山彦。職員室に来なさい』


「え?」


「?」


俺と秋田をご指名だった。

目をパチクリしながら秋田を見て秋田も俺を見る。

ん?何だってんだ?


思いながら俺達は職員室に直ぐに向かう。

そしてノックしてから入ると。


そこには.....大泉先輩と女性の柔和そうな感じの先生が待っていた。

ゆるふわウェーブっていうのかな。

そんな感じの長い髪に、俺達を柔和に見てくる整った顔立ちの美人。

確か名前は.....山寺。

山寺裕子先生だ。


ってそれは良いんだが何故大泉先輩が一緒に居るんだ。

俺達は顔を見合わせながら???を浮かべる。

それから、どうしたんすか?、と大泉先輩に聞いた。

すると大泉先輩が、うむ、と言いながらニヤッとしてくる。

な、何だ一体。


「ゲームの部活を創ろうと思う」


「.....は?」


「え?」


「eスポーツ部だ。正確に言えば」


「.....突飛すぎて話が付いていけないんですけど.....」


秋田が瞬きしながら大泉先輩を見る。

大泉先輩は、うむ。この前決めたからな、と笑顔になった。

いやいや、この前決めたって。

オイオイオイオイ。

だがそんな俺達とは裏腹に腕を組む。


「親睦を深めようと思ってな。それで部活を創ろうと思ったのだ。それ以外にも目的はある。先ず、康太。君と菜穂と香織の親睦を深めてもらおうと思っている」


「.....いや。大泉先輩。私は.....ゲームをしない様なイメージで成り立っているので.....」


「嫌か?菜穂」


「.....嫌じゃ無いです。.....山彦君が居るなら.....」


「.....」


赤面する秋田。

というかそれは良いんだが勝手に山口が加わっている気がする。

俺は目をパチクリしながら直ぐに大泉先輩に手を挙げる。

それから進言をした。


「ちょ、ちょっと待って下さい。山口が含まれているのは何故?」


「うむ。彼女はマスコットキャラクターとして働いてもらう」


「それ本当ですか?マスコットですよね?本当に?」


「.....うむ」


冷や汗を流す大泉先輩。

いやいや、何で返事が遅れてんだよ。

俺はツッコミを入れたかったが。

大泉先輩がその前に話を進めてしまった。


「紹介が遅れたな。この横に居る裕子先生は私の恩師だ。eスポーツ部を作るとなったら直ぐに賛同してくれた」


「はい。宜しくねぇ~」


「.....大泉先輩。私はまだ参加するとは.....」


「嫌なのか?」


秋田の言葉に悲しげな顔をする大泉先輩。

イヤイヤ.....この人、と思いながら俺は額に手を添える。

ワタワタする秋田の肩に手を添える。

それから諦めろ、と告げた。

秋田は、え.....えぇ.....、と愕然としている。


「.....分かりました。大泉先輩の言葉ですし参加します」


「ほ、本当か!有難う!」


「.....」


この人.....何というか表情を変えるのが上手過ぎる。

俺は顔を引き攣らせて思いながら、ん?、と考えた。

よくよく考えたら俺も強制参加.....。

まあ良いかもう。


「では部活を新設する。その為には香織の許可が居るな。.....まあ良いか」


良くねぇよ。

何勝手に話を進めてんの。

山口の許可は大事だろうよ。

俺は思いながら大泉先輩にまた手を挙げた。


「山口の許可は必要では?}


「大丈夫。彼女なら私達の考えに賛同してくれる。きっとだ」


「うーん.....」


ニコニコする大泉先輩。

俺は.....その姿に盛大に溜息をまた吐いた。

それから裕子先生を代表の顧問としてeスポーツ部。

通称、ゲーム部が創設される事になってしまった。


「.....山口に連絡しないと」


「あまりに突飛だから。何とかしないといけないわね」


「.....そうだな。うん」


そうしているとチャイムが鳴った。

裕子先生はニコッとしながら、戻りなさい、と告げてくる。

俺達は大泉先輩に挨拶をして。

慌てて中休みの終わったチャイムを聞きながら戻った。


「でもゲーム部って.....良いのかしら」


「俺に聞くなよ.....」


「.....でも何だかゲーム部って楽しそうね。アハハ」


「.....だな」


最悪な事ばかりかと思ったが。

何だか楽しい事もある。

俺は.....思いながら少しだけ笑みを浮かべつつ。

慌てて教室に戻った。

それから.....授業を受け始める。


山口に連絡したら.....、楽しそうですね!、と返事が来た。

参加するという。

俺はその言葉に少しだけ楽しみになりながら放課後を待った。


そして昼休みになる。

俺は驚いた。

何に驚いたかといえば.....秋田がお弁当を作ってきていたから、だ。

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