第9話 秋田先輩は先輩が好きですよ(編集)

オオヤが俺の通っている高校の先輩であり生徒会長だった。

そしてユウキ自体も高校の同学年の女子だ。

一体どうなっているのか。


こんなにも世界って狭いのか.....?

まるで箱庭じゃないか。

と考えつつ目の前を見る。

山口がニコッとして目の前を見る。


「先輩」


「.....あ、ああ」


「お昼ご飯食べましょう」


一連の騒ぎがあった中休みから昼休みへ。

山口の言葉に秋田がチラチラ見てきている。

どうしたのだろうか。


思いながら俺は秋田を見る。

あんな感じは初めてだな、と考えながら、だ。

すると山口がお弁当を出した。


「先輩。今日は張り切りましたよ。.....ハンバーグ弁当です」


「.....お?そうか」


「先輩は男の子ですからこれなら喜ぶかと思いました」


「そうだな.....確かにな」


ハンバーグは大好物だな。

しかし何だかこの視線を感じる中でハンバーグか.....。

ちょっと気になるが。

でも山口がせっかく作ってくれたのだから大切に食べないと。

すると山口がお弁当箱を開けた。


「すごい.....ハンバーグももしかして手作りか?」


「当たり前ですよ。冷食なんて食べさせる訳が無いです。愛しの先輩ですから」


「有難いもんだな。山口」


その様に会話しながらハンバーグやらを見ていると秋田がソワソワした感じで俺を見てきていた。

簡単に言ってしまうと不安そうな顔で、だ。


何だか今日は秋田が忙しいな。

俺は首を傾げながらその光景を見つつハンバーグを食べる。

ん?っていうか美味いなこれ。


「.....山口。相変わらずだが料理上手過ぎるなお前」


「えっへへ。沢山沢山、鍛えましたから」


「.....」


いちいち反応が可愛い。

というのも頬に人差し指を立ててウインクするとか。

俺は.....その反応を柔和に見ながら居るとスマホにメッセージが来た。

オオヤ、つまりホットラインを交換した生徒会長から、だ。

俺は首を傾げてスマホを観る。


(其方は今頃、修羅場にでもなっているんじゃないか?)


(へ?いや、なって無いっすよ)


(そうかい?面白くないな。ハッハッハ)


(アンタ最低だな!)


ただのご機嫌伺いと言えるのだがホットラインをしてみた。

菜穂は君に惹かれているんじゃないのか?

とメッセージをくれる。

俺は首を振ってからメッセージを返した。

それは無いっすよ、と言いながら、だ。


(秋田は友人です。それは無いっす)


(そうか?ふむ.....だが何だか引っ掛かるが)


俺に対してその様に告げてくる大泉先輩。

山口が、どうしたんですか?先輩、と俺に聞いてくる。

俺は、大泉先輩だ、と答えながら改めてホットラインを見る。

そしてメッセージを見る。


(それにしても羨ましいと言えるな。山口ちゃんが君に惚れているのが。もし良かったら写真撮って来てくれないかね)


(大泉先輩って途中で良い感じの空気をぶっ壊すのが得意ですね)


(私は真面目に言っている。山口ちゃんのエッチな写真が欲しいのだが)


(やらん!直球過ぎて最低だ!)


俺は額に手を添えて盛大に溜息を吐いた。

それから、取り合えず切りますよ大泉先輩。忙しいので、と告げる。

すると、待て待て話はここからだから、と言ってきた。

俺は?を浮かべて画面を観る。


(実はな。私の家はそこそこに金持ちでね。.....今度家にみんなをネットゲーム同好会の意味で招待したいのだが。.....父親とは仲が悪いが母親とは取り合えず仲が良いのでね。友達同士という事なら家に入れてくれるだろう)


(.....もしかして以前言っていた.....)


(そうだな。オンラインネットゲームを散々に批判する父親だからな。私の成績が落ちたら自動的に私のアカウントを大切な物を消す、捨てると思う。かなり嫌われているのだよ私は。父親は成績優秀が基本だと思っているからね。.....もしや君もかね?)


(.....はい)


少し間が開いて、そうかね、と答える大泉先輩。

しかし何処の家庭でも.....同じなんだな.....。

思いながら俺は少しだけ複雑な顔をする。

それからハンバーグのお弁当を食べた。


すると山口が、もー。行儀が悪いですよ先輩、と頬を膨らませて言ってきたので俺は、すまないです。先輩。また後で、と大泉先輩にホットラインを送った。

それから.....俺は山口を見る。


「すまんすまん」


「もう。.....でも何という用件だったのですか?」


「今度、大泉先輩が自宅に招待したいそうだ。何だか.....金持ちらしくてな」


「.....もしかしてですけど.....大泉建設の社長さんのご令嬢さん.....って事ですかね?私、ずっと考えてたんですけど」


え?それって本当か?

あの大泉建設の令嬢なのか?

俺は驚きながら顎に手を添える。

でも確かにそうかもな。


大泉建設。

巨大企業で東京スカイツ○ーとかの建設にも関わったとされるが.....。

もしかしたらと思ったが凄いな。

それがマジとは。


「でもそれは楽しみですね。大泉先輩とても面白いですからね」


「.....ま、まあな。でもお前は気を付けてな。色々と」


「え?.....あ、はい?」


「.....」


山口はなんか危険性があまり分かって無いようだ。

大泉先輩のあれは冗談だとは思うけど。

でもそれでもあのロリコン力は厳しい.....、と思うし。

俺は少しだけ苦笑しながら.....ハンバーグ弁当を食べる。


そうしていると秋田が遂に寄って来た。

それから俺を見下ろす。

ご飯を食べ終えた様だった。

俺は目をパチクリしながら見る。


「.....ど、どうした。秋田?」


「.....山口さんのお弁当美味しい?」


「.....そ、そうだな」


「そうなのね。ふーん.....」


秋田は少しだけ目を逸らす。

俺は首を傾けながら秋田を見る。

するとピーンとした様な感じで人差し指を立てた山口が言葉を発した。


もしかして先輩にお弁当を持って来たいんですかね?と、だ。

秋田はギクッとしながら、そ。そんな事は無いわ、と否定する。

俺は、え?、と思いながら直ぐに山口を見る。

山口は秋田をジッと見ている。


「わ、私は.....料理が下手だからそんな事は.....」


「.....???」


俺は、え?え?え?、と目を丸くする。

すると山口が困惑している秋田に追い打ちをかける様にニヤニヤした。

それから山口は秋田に言葉を発する。

この様に、だ。


「.....じゃあ教えてあげても良いですよ。私」


「え.....でも.....」


「私はお互いに不利益の無い様にしたいです」


と山口は言う。

俺は目をパチクリしながら見る。

秋田は、じゃあ.....お願いしたいわ、と言う。

ちょ、ちょっと待ってくれ。

どうなっている?


「どういう事だ?山口」


「!?.....もー!鈍感ですね!」


「え!?」


何で俺は怒られるんだ。

意味が分からない、と思っていると。

山口は、それじゃ駄目ですよ、と恥じらう秋田を見る。

それから俺を見てきた。


「.....秋田先輩は貴方が好きなんですよ」


「.....ハァ!!!!?」


まさかの事であり。

俺は驚愕せざるを得なかった。

何だって!!!!?

一体何故そうなるのだ!?


「あ、秋田。それは本気か?」


「本気だと思います。だから私は気を付けていたんです」


「.....!」


俺は驚愕しながら秋田を見る。

秋田は、消えて無くなってしまいたい、的な感じで真っ赤になっていた。

大泉先輩が家に誘ってくれたりと。

色々と驚く予定が出来たが.....その中でも最も驚愕だった。

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