七不思議
登場人物
ソノタ「先輩、知ってました?」
カマセ「あ? なにがだ?」
ソノタ「うちの会社の七不思議ですよ」
カマセ「……なぜ、仕事中にいきなりそんな話を振ってきた。そして七不思議など知らんし、聞きたくもない」
ソノタ「いいじゃないですか。先輩、もうデータ入力も終わって、今ソリティアしてるだけでしょ?」
カマセ「お前、このパソコンにスパイウェアとか入れた?」
ソノタ「で、一つ目の七不思議なんですけど、このビルの観葉植物…………誰も水をやってないのになぜか枯れないらしいんですよ」
カマセ「話し始めちゃうし。ていうか、うちのビルに置いてある観葉植物って、ぜんぶフェイクだからな?」
ソノタ「七不思議その2。社長の髪…………時々生え際が変わるらしいんです」
カマセ「……誰が聞いてるか分からないから、二度とその話を口にするなよ?」
ソノタ「その3。二ヶ月くらい前から、清掃業者のおじさんの目が…………真っ赤に充血してるらしいんです」
カマセ「それは……理由は知らんがお大事に、としか言えんな」
ソノタ「その4。二ヶ月くらい前から…………社長室の前を通ると、どこからともなく『にゃ~ん……』っていう寂しげな声が聞こえてくるらしいです」
カマセ「社長、会社でこっそり猫飼ってんの? ていうか、清掃業者のおじさん猫アレルギーじゃね?」
ソノタ「その5。二ヶ月くらい前から…………警備員さんが夜中に時々、小さな白い影を見るように……」
カマセ「夜は部屋から出してんだな。猫」
ソノタ「その6。これは人事部から聞いたんですが…………二ヶ月前、社長から「来年の入社試験は面接の時に必ず『犬派か猫派か』聞くように」と謎の命令があったそうです」
カマセ「むしろ、二ヶ月前社長に何があったのかの方が気になってしょうがねぇよ」
ソノタ「その7。これは本命中の本命ですよ。なんと…………地下の資材庫に、ゴリラが出るらしいんです」
カマセ「ようやく猫から離れたと思ったら、今度はゴリラ? それは完全にガセだろ」
ソノタ「いえ、複数の人間が目撃しているらしいです。何でも、薄暗い資材庫の中からウホッ、ウホッて声が聞こえてきて、その声がした方向を見ると…………なんと、真っ赤な目でこちらを睨む野生のゴリラが!」
カマセ「……清掃業者のおじさんて、毛深いか?」
ソノタ「え? ああ、そういえばすんごい毛深いらしいですけど……」
カマセ「それ、清掃業者のおじさんが猫アレルギーで咳き込んでんだよ!」
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