癒やし

登場人物


園田そのた──どこにでもいる地味顔のモブリーマン。でも、ちょっとずれてる。


蒲瀬かませ先輩──面倒見のいい園田の先輩。時々『なんでっ!?』と叫ぶようになった。











カマセ「んん~~……っ、ふぅ……」


ソノタ「どうしたんです、先輩?」


カマセ「いや、ちょっと肩が凝ってな」


ソノタ「棒で叩きましょうか?」


カマセ「いや、なんでだよ。叩くにしても普通に手で叩いてくれよ。……まあ、そもそも揉み返しがきやすい体質だから遠慮しとくけど」


ソノタ「ならいいもの持ってますよ?」


カマセ「ん? なんだ、湿布とかか?」


ソノタ「テーレッテレーッ! アロマキャンドル~!」


カマセ「今の、ねるね○ねるねの効果音じゃない?」


ソノタ「このアロマキャンドルはですねぇ、なんと肩こりに効くと言われているものを12種類もブレンドして作った、特別な自家製アロマキャンドルなんですよ!」


カマセ「お前が自分で作ったの!? っていうか、いくら何でも12種類って香り混ぜすぎだろ!?」


ソノタ「ものは試しと言いますし、さあ、どうぞ遠慮無く火をともして下さい」


カマセ「会社でアロマキャンドルに火をともすのはどうかと思うんだが……まあ、ちょっとだけならいいか……(カチッ)」


ソノタ「…………」


カマセ「…………」


ソノタ「どうです? 先輩」


カマセ「…………なあ、なんかこれ、大○漢方胃腸薬みたいな匂いがするんだが……」


ソノタ「おっ、鋭いですね先輩。実はこれ、葛根湯かっこんとう防風通聖散ぼうふうつうしょうさん黄連解毒湯おうれんげどくとうなどの肩こりに有効な成分を持つ生薬から、水蒸気蒸留法によって香りだけを抽出したアロマキャンドルで…………」


カマセ「有効成分の方を飲ませろよっ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る