海外ドラマ

登場人物


園田そのた──どこにでもいる地味顔のモブリーマン。でも、ちょっとずれてる。


蒲瀬かませ先輩──面倒見のいい園田の先輩。デスクに木彫りの熊が置かれた。











カマセ「うしっ、これで終わりっと。なんとか昼飯前に一区切りつけられたな。

 今日は何を食うか…………(チラッ)」


ソノタ「…………」


カマセ「……今日は普通に仕事してるみたいだな。よし、じゃあ先輩として昼飯くらいおごってやるか。

 おう園田、飯食いに行こうぜ…………って、映画見てるし!!」


ソノタ「先輩。これ映画じゃなくて海外ドラマですよ?」


カマセ「そう言う問題じゃねぇよ! これから飯だって言うのに、なんで海外ドラマなんか見始めたんだよ!」


ソノタ「大丈夫ですよ、ちゃんと見ながら食べますから」


カマセ「はぁ……もういいや。で、何見てるんだよ」


ソノタ「このドラマを語る為には三時間ほどかかりますけど、いいですか?」


カマセ「……せめて、10分くらいにかいつまんで話してくれない?」


ソノタ「はぁ……仕方ないですねぇ。じゃあ、途中で口を挟まないで下さいよ?」


カマセ「なんかこっちが頼み込んだみたいになってるのは納得いかないが……わかったよ」


ソノタ「じゃあ説明しますね。これ、『スタートラック』っていうタイトルのSFドラマなんですけど」


カマセ「……っ」


ソノタ「映画監督の『T.Tテー・テー.アブラハム』っていう人が、初めてドラマ監督を務めた作品で」


カマセ「……っ、……っ」


ソノタ「星間配達をしているデコトラ運転手の主人公『ジミー・コーク』が、ナビゲーションシステムの『スポットくん』と共に様々な事件に遭遇していく、っていう内容なんですけど」


カマセ「……っ、……っ、…………っ!」


ソノタ「やっぱり見所は、なんといっても敵対運送会社である『クリンポン運輸』との熾烈しれつなカーチェイスですね。

 片側一車線の狭い宇宙航路こうろを、クリンポンのデコトラに押し出されて何度も宙央ちゅうおう分離帯を乗り越えながらも、必死に運転するコーク! そこにすかさずスポットくんからの「ルートを外れています。ルートを外れています。長生きして金持ちになりたいなら、今すぐもとのルートに戻ってください」という的確な指示!」


カマセ「……っ! ……っ! …………っ! ………………っ!」


ソノタ「まあ、結局は大体いつも同じ展開なんで、僕は毎回、冒頭部分は飛ばしてカーチェイスのところだけ見てるんですけどね」


カマセ「……突っ込みどころが多すぎてっ! どこを拾えばいいのか分からねぇよっ!!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る