趣味

登場人物


園田そのた──どこにでもいる地味顔のモブリーマン。でも、ちょっとずれてる。


蒲瀬かませ先輩──面倒見のいい園田の先輩。最近猫と戯れている姿をよく見かける。










カマセ「さぁって、今日も一日頑張って働くとしますか! ん……? おい、園田。何やってんだ?」


ソノタ「あ、おはようございます、先輩」


カマセ「ああ、おはよう。で、何やってんだよ」


ソノタ「始業時間前に終わらせちゃおうと思いまして。編み物」


カマセ「……お前ってさ、なんかこう変な……いや、変なって言ったら語弊ごへいがあるけど、若干普通からはずれた趣味を持ってるよな。

 料理とか、工芸品作り(猫笛)とか、編み物とか……」


ソノタ「女性らしい趣味ってことですか?」


カマセ「普通の女性は伝統工芸(猫笛)に手ぇださないだろ」


ソノタ「学生の時もよく言われたんですよね。お前の趣味って女っぽいよなって。編み物とか、手芸とか、囲碁とか、温泉巡りとか……」


カマセ「途中からお婆ちゃんぽくない? っていうかお前、手芸もするのか」


ソノタ「ええ、毎日って訳じゃないですけど、天気のいい日とかは縁側で猫と遊びながらちょこちょこと……」


カマセ「やっぱりお婆ちゃんぽくない? ……まあ、いいや。で、手芸ってどんなもの作るんだ?」


ソノタ「色々作りますけど、最近作ったのはクマですかね?」


カマセ「へえ、すごいな。ぬいぐるみか?」


ソノタ「いえ、木彫りです」


カマセ「……」


ソノタ「海岸を歩いてるとたまに良さげな木が流れついてるんで、それを持って帰って彫るんです。今回のは力作ですよ? 鮭も咥えてるし」


カマセ「民芸品じゃねぇか!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る