男子同士のオタ話?

「悠真ぁ、俺、彼女欲しいよ〜」


玲翔が、メロンソーダを吸いながら俺を見てくる。


「彼女?いるの?」

「いるさ!彼女いないと何も始まらない……」


はあー、と冷たいテーブルにグダる玲翔。それを遠目で見て、俺は短くため息をついた。


「なんだよ、なんかあるのか?」

「いいや。あっても言えない」

「俺たちの仲じゃんか。なんでも言えよ」


まだ食べ終わっていないグラタンに手をつけながら俺は悶々と考える。

この前のことだ。未莉を家へ入れてしまい、なんかこと細かく語ってしまった。

未莉に引かれたかもしれない。イメージと違ったって思われるかもしれない。

そんなのは絶対嫌だ。せめて、前と遜色のない関係でいたい。


「んー、なあ」

「ん?」

「もしさー、俺が、未莉……"みりりん"と、現場以外で会ってるって言ったらどうする?」

「遭遇したのかお前!!」


前のめりに来た玲翔を押し戻して、静かにしろ、と宥める。


「え、すごいじゃんおめで………?」

「うん」

「会ってるって………まっさかあ!そんなんありえないだろ。だって相手はアイドルだぞ?」

「うん」


ヘラヘラと笑っていた玲翔の顔が冷めてゆく。


「…………マジ?」

「ああ」

「まじかあ」


声のボリュームを落として、玲翔は続ける。


「付き合ってるのか?」

「いいや。友達になろうって、言われた」

「言われただあ?仮にも1人のアイドルに?推しとオタクの関係なのに?」

「うん」

「…………悠真がそこまで言うってことは、マジなんだよな」


沈黙。


「家にも上げた」

「まっ!?おま!!それは………それはあ!!」

「ん?」

「………やばいぞ。さすがに俺も、彼女以外の女は入れない」

「居ないじゃん」

「居たらの話だよ!」

「けど別に付き合ってるわけじゃ、ないし」


そうだ。俺と未莉は付き合っていない。胸を張って友達だと言えるし、今のところそれ以上の気持ちもない。


「そうだけどなあ。相手を考えろ。地下ドルだぞ?見つかったら、お前も、みり、りんも、どっちも炎上するんだ」

「わかってるよ。わかってる。けど」


一呼吸。


「推しの言ってることを否定できないだろ?」

「…………、一理ある」

「頼まれたらやるしかないだろ?」

「そんなん当たり前だ」

「推し以上なるような天国みたいな世界線、手放せるわけないだろ?」

「そうだよ!」


ガシッと俺と玲翔は手を掴んで上下に振る。

だが途中で玲翔の手が離れた。


「推しに注意するのも大事だ」

「………うん」


分かっている。


「過保護オタが見てて1番辛いからな。明らかに推しが悪いのに、必死に擁護する奴。まあこの場合、みりりんも悠真悪いから、両方の不注意だけどな。けど」


この言葉の次は予想出来た。


「まさか、みりりんが、こんなにもプロ意識無いとはな。大手アイドルとは違ってメディアには取り上げられにくいけど、なあ」

「うん」


俺も正直驚いた。けれど、その後未莉に対して甘くして、受け入れてしまった俺も悪いんだと思う。


「とりあえず、できるなら解消、そして現場以外では2度と会わない。できなくても、会う時は細心の注意を払うように」

「うん。ありがとう」

「ま、悠真が俺を呼び出した時点で重い話があるとは思ってたけど。お前、何も無い時は何もしてこないじゃん」

「そうだっけ」

「そうだよ。てか………いや、なんでもない」


良い友達を持ってよかったと心の底から安堵した。

自分のやっていることはあまり世間には認められないことは心の底ではわかっていた。そして今日再認識した。


やっぱり、解消すべきだ。

俺のためにも、未莉のためにも。




―――――

あとがき的な


前の話との繋がりを全く見ないで、30分も使わずに暇つぶしで書いたので設定がブレてるかもです。

見てくれてありがとうございます。

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