七、束子そして奇襲
シロが風呂場に侵入した日の翌日、和多々比は昨日と同じように一日を過ごし家に帰る。
今度は誰もいないよな? と家の中を一通り確認し終わり体を洗おうと風呂場へと行くと、先程まで付いていなかった明かりがついてるではないか。
恐る恐る風呂場の扉を開けているとそこには、クロの姿があった。
バスタオルを体に巻き、正座で待ち構えていて、その豊満な体型が丸見えになっている。
「わ、私もお姉さまに
クロはガチガチに緊張していて、言葉が片言になっていた。
和多々比は、それを見て風呂場に置いてある椅子に座り、無言で背中を預ける。
クロは何処からか取り出したスポンジにボディソープをかけ、泡立てる。
恐る恐る、宝石を触るかのようにゆっくりとスポンジを背中に置く。
そして、ゆっくりとスポンジを動かし体を洗っていく。
「どうですか?
和多々比を気遣って声をかけるシロの顔は、熱気にやられたのか真っ赤になっていた。
「ああ、もう少し強く……」
「分かりました、もう少し強くこすれば良いんですね?」
ぐっとスポンジに力を入れるクロ、すると力を入れすぎたのか和多々比を押し倒してしまう。
「キャッ」
両者は重ねるようにうつ伏せの体制で倒れており、クロの胸が和多々比にあたっている。
それを一瞬にして気が付いたクロは、すぐに和多々比から離れ謝る。
「す、すみません和多々比様、お怪我はございませんか?」
和多々比は地面に突っ伏したままで反応がない。
「和多々比様?」
クロが怪しげに思って、和多々比をひっくり返すと鼻血を出して白目を剥いていた。
「お姉さま!」
クロが叫ぶとシロが扉を蹴り破るかのように開け、風呂場に入る。
「ど、どうしたのじゃ!?」
「わ、和多々比様が……」
倒れている和多々比をシロが発見すると、これまた驚き近寄る。
「あわ坊! あわ坊! こんな所で死ぬんじゃない!」
シロは和多々比を
そこでシロが和多々比に脈が通っている事に気がつく。
「あわ坊?」
シロが和多々比のあちこちを触って確認すると「なんじゃ、気絶しただけじゃ」と結論を出す。
「気絶?」
クロが答える。
「そうじゃ気絶、きっと倒れた勢いで気絶だけじゃろう。 鼻血はその時にぶつけた物じゃ」
クロは内心、胸が当たったのもあるんじゃないか、と思ったがシロが何か文句を言う可能性があったので
「あわ坊に服を来させて布団へと運ぶそ、シロ手伝っておくれ」
そう言って2人は、とりあえず和多々比と風呂場から出し、服を着させ、布団へと運んだ。
一晩寝かせ、朝になるとシロとクロが喜びならだ抱きついたのは別のお話……
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