第6話 第二回公判 2


法廷の誰もが、あっけにとられていた。

「生垣で何してるんですか…。」

「不審者も、南さんのようですね…。ともかく、山野さんが心臓発作を起こした時、一緒にいたのは被告人一人であることが証明されました。」

「南さんは生垣で中を覗いていたのですか?何か見ませんでしたか?」

「生垣からは中は見えませんでした。」

「では何をしていたのですか?」

南は、悔しそうな顔をして黙っていた。


第二回公判後、南の取り調べが始まった。虚偽の証言をしたのだから、それだけで罪になる。他にもいろいろ出てきそうだ、とみられている。

南は焦る。自分が外にいたことを証明したいがために、ナオを危機に陥れてしまった。心臓発作の経緯は、後で録音を聞いたから知っている。それを証拠として出せば、ナオの無実は証明されるだろう。だが、俺が盗聴していたことがばれる。世間にばれようと、ナオにだけは知られたくない。南は迷いつつも黙秘を続けていた。

だが警察は、すでにナオ自宅に取り付けられた盗聴器を確認していた。誰がつけたものなのかはわかっていなかったが、南の怪しすぎる行動から、南自宅の捜査令状を取り付けた。南宅からは、受信機数台と、ブルーレイに保存されていた大量の録音が発見された。黙秘しようと、南、万事休す、だった。

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