Film 6. 『ホーム・アローン2』
1992年のアメリカ映画。天才的いたずらっ子が主役のドタバタ・クリスマス・コメディ。
クリスマスにフロリダへ家族旅行に行くはずが、飛行機を乗り違えて一人だけニューヨークへ来てしまった大家族の末っ子・ケビン。偶然手に入れたパパのクレジットカードと、普段は抑えているイタズラの才能を駆使し、プラザホテルで豪遊したり、宿敵の泥棒二人組をやっつけたりします。
クリスマス映画といえば! ここで紹介する必要があるのかというくらい超有名作ですが、やはりこれは外せません。
子どもの頃、うるさい親姉妹兄弟や学校も忘れて、一人でホテルに泊まって街で好きなだけ遊んでみたいと思ったこと、一度くらいはありませんか?
おうちに籠城するお話だった前作からパワーアップし、ニューヨークの街を丸ごと舞台にしてしまった本作は、半分はその夢を叶えてくれちゃうお話。しかも、ともすればうらやむばかりになりがちな強引なストーリーを、ケビンの機敏な天才ぶりがたぐいまれな痛快さに変えてくれます。
そんな夢いっぱいなこの映画の、しかしもう半分には誰もが気づいているでしょうか?
実はこの映画の裏の顔は、“行きて帰りし物語”。
憧れていた都会のすべてが美しいわけでないことを知り、自由のままならなさに気がつき、孤独のつらさや人にやさしくすることの大事さを再確認。そして愛すべき“我が家”へ帰るまでの物語、なのです。単なるコメディとしてではなく、長く人々の記憶に残り、根強い人気を誇るのはきっとこのためだとも思えます。
セリフ回しも秀逸で、その“行きて帰りし物語”のポイントを押さえるような象徴的なセリフも多いこの映画。拙作第6話のサブタイトルにいただいた「一人になりたいと思っても、一人になるとつまんない」もその一つ。
人とのつながりを自ら拒絶するホームレスの女性にかけた言葉で、ケビン自身が切望した自由の対価として痛感した真理だったともいえます。
なお、拙作最終話サブタイトル「ひざまずいて愛を誓え」もこの映画からの引用。
なんでそこやねん!というツッコミはあえて置いておいて(笑)、厳密には劇中のテレビに映る他の映画のセリフですが、さらに実は、その映画は劇中にしか存在しない架空の映画、なんてネタがあります(タイトルは『さらに汚れた心の天使』。実在する映画『汚れた顔の天使』のパロディだそうです)。
ケビンがテレビのボリュームを上げて、あの劇中映画を壁越しに再生してホテルマンたちを脅すくだりは、個人的に一二を争うくらい大好きなシーン。拙作のヒロインで映画オタクの
さあ、いよいよ今日はイヴですね! Have a Happy Christmas!!!
拙作・クリスマス作品『ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を』
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