Film 5. 『スイス・アーミー・マン』
2016年のアメリカ映画。おとぎばなしのような異色の青春モノ。
無人島に流れ着いた青年・ハンクは、絶望のあまり浜辺で首を吊ろうとしていた。
そこに打ち上げられてきた、見知らぬ男の死体。
それは間違いなく死体だったが、スイス・アーミー・ナイフのごとく、サバイバルに役立つ“便利な機能”を豊富に備えた不思議な死体だった……。
お尻から噴き出すガスでジェットスキー!
口からは大量の真水!
死後硬直の指パッチンで火打ち石!
アソコが立つと方位磁針!
おまけにしゃべる!
超ハイスペックな“死体”・メニーとともに、無人島を脱出して故郷を目指すお話。
これだけ聞くと奇想天外なコメディのよう。ですが、意外や意外、生きることについてとても大事なことを伝えようとする
“孤独”やエゴと正面から向き合うにはどうすればいいか。生きる勇気って何なのか。
ちょっと(だいぶ?)お下品だったりもしますけど、排泄物とか性衝動だとか、それらもひっくるめて全部自分なんだと主張するような人間愛にあふれています。クリスマス映画ではないけれど、あえてクリスマスに観てほしい。特に、外出自粛、巣篭りばかりの今だからこそ、イチオシにしたい映画です。
贈り物に“メニー君”というのも、なかなか粋ですよ。
ちなみにその死体の“メニー”君、演じたのはかのハリー・ポッター役で有名なダニエル・ラドクリフくんです!(もう“くん”と呼ぶ歳ではありませんが……w)
彼は子役の名声を足がかりに映画スター的な出世コースを歩むよりも、より独創的で個性的な役柄を積極的に引き受けて、純粋に俳優として高みに行くことを望んでいるようですね。間違いなくこの作品は彼の生涯の代表作の一つになったはず!
拙作に引用したセリフは3つ。
「でもたぶんこんな感じだって想像はつく。髪をなびかす風か、疾走する車の感覚」(第5話サブタイトル)
「みんな少しは醜い。人はみんな醜いのかも」(第8話サブタイトル)
「一人が“それでも平気だ”といえば、みんな歌って踊り、オナラをする」(第8.5話サブタイトル)
8話と8.5話のものは元々ひとつながりのセリフ。つなげればそのまま意味が分かるかもしれません。
5話の方はとある行為の比喩なんですが、全年齢向けのサイトでは明言を控えた方がいいでしょう(ヒントは、一人ですることです)。映画の中ではその行為もまた“自分”の一部だというように語られます。
どれもしゃべる死体・メニー君のセリフです。
さあさあ、明日はもうイブ! 皆さん、メニークリスマス!!!
拙作・クリスマス作品『ルーシー・ダイヤモンド・ドーソンと晩餐を』
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