　社会省指定教科書　国家倫理委員会検閲済み

　高等学校　地理歴史科用　　

　　　　　　　　　　　　　　詳説世界史C 新版　　　　帝国教育出版公社

　　　　　　　　　　第17章　冷戦後の世界と戦争前夜

　3-ヨーロッパにおける大動乱時代p412~p418

　2007年にアメリカ合衆国で起きた経済的混乱と軍事クーデターを切っ掛けに始まった第2次世界恐慌は瞬く間に欧州を襲った。

（中略）

　民主化以降成長を続けていた東欧諸国の経済は完全に崩壊。医療、インフラ、行政機能が停止し無政府状態に陥り、市民たちは自己救済手段として暴動や略奪を起こした。暴動は第1次東欧内戦以降不徹底だった武装解除も相まって、事態は日に日に悪化し07年8月にルーマニアが崩壊、11月にはベラルーシ、ブルガリア、ハンガリー、12月にポーランド、翌08年にはチェコスロヴァキアとウクライナが内戦状態に陥った（第2次東欧内戦）。

（中略）

　北大西洋条約機構（NATO）の崩壊以来、欧州内で紛争調停を行っていた欧州諸共同体（European Community）はこの東欧情勢に関する方針の対立によって機能不全を起こし、解散した。

（中略）

　2010年にはフランスの首都パリで起きた反政府運動が全国に広がり事実上の内戦に突入。カレーがイギリス軍、アルザス地域がドイツ軍によってそれぞれ占領されるなど侵略を受けたが、同地域では欧州連邦（European Federation）の建国まで内戦が続いた（フランスの崩壊）。

（中略）

　スペインでは2011年にカタルーニャ州が独立を宣言すると国内に混乱が広がり、同年5月バスク州は元フランス領地域と共にバスク共和国の建国を宣言した。スペイン軍これを鎮圧すべくバスクへと侵攻を開始したが、戦闘の中で多数の民間人が死傷する惨事に至り、この結果反政府暴動や独立運動が各自治州内、そして軍内部でも広がり、これを鎮圧する力を失ったスペイン政府はまもなく崩壊した（第2次スペイン内戦）。またこの内戦での難民をきっかけとして、戦火と混乱は隣国ポルトガルへと広がり同国も内戦へ突入、政府は崩壊した（ポルトガルの崩壊）。

（中略）

　2012年、欧州で混乱が色がる中、イギリスは北アイルランドからの撤退（アイルランド放棄）を行うと共に英仏海峡トンネルを爆破し、同時にグレートブリテン島周辺の海域を封鎖した。これによって事実上の鎖国体制となった。

（中略）

　95年のパダーニア事件以降三つの連合州から構成される国家であったイタリアでは世界恐慌をきっかけに南北問題が再燃、11年に北イタリア連合州がパダーニア共和国として独立を宣言すると、これに対抗する形で南イタリア連合州がナポリ＝シチリア共和国と名乗り独立、イタリア政府の権限が及ぶのは中央イタリア連合州の一部のみとなった。翌12年には北軍が中部トスカーナ州へ進軍を開始、南軍も中部へと進軍を開始しイタリア政府は崩壊した（イタリアの崩壊）。また同年ローマの支配権をめぐって南北政府が対立すると南北間での戦火は瞬く間に広がり全面戦争へと突入した（イタリア南北戦争）。

（中略）

　ドイツ政府は深刻化する国内の分断を解消する手段として内戦中の国家への先制介入を行い国内の不満を外に逸らすとともに、新独政権を樹立させるために近隣国へと出兵を行った。この結果シュチェチン制圧、アルザス紛争、アルプス紛争、ミラノ戦争などの紛争と第二回アンシュルスなどを引き起こし勢力圏と領土を拡大させたが、増え続ける戦死者や難民問題などで国民の不満が高まり、18年にはベルリンで起きた反戦左派によるクーデター（ベルリン事件）と、ボンで起きた右派と軍によるカウンタークーデター（連邦軍の反乱）により政権が東西分裂、ドイツ連邦共和国は崩壊しボンを首都としたドイツ国（新西ドイツ）とベルリンを首都としたドイツ人民共和国（新東ドイツ）に分かれ内戦が始まった（ドイツ内戦）。

（中略）

　こうしてイギリスとロシアを除く欧州に存在していた全ての国家が崩壊、或いは内戦状態となり、欧州は全面核戦争と第三次世界大戦を迎えることになった。