第7話 衝突までのカウントダウン2
青空雨音
とりあえず腰を据えられる場所に行かない? と夕凪が。
場所なんてどこでもいいと思ってた私は「そうしましょ!」と明るさを意識し適当に返した。
結果、高校から一番近いファミレスへ向かうことに。
もちろん、移動中の僅かな時間すらも無駄にはしない。
「相談とはまた別の話なんだけど、聞いてくれますか?」
「え? あ、うん! 話して」
ま、相談することなんて何もないんだけどね。
内心でほくそ笑みながらも、表面上では彼氏できたての
「付き合い始めた記念で、華美さんに何かプレゼントしたいんですけど、華美さんの好みが全然わからなくて……だから、夕凪さんに教えてもらえたらなって思いまして」
「う~ん真琴の好きなものかぁ…………自分? かな」
「やっぱり、そうですよね…………私じゃない、ですよね……」
「――ち、違くて! 前は自分だったかもだけど、今は間違いなく青空さん! 青空さんが一番だから!」
「そう、ですかね?」
「絶対そう! じゃなきゃ、恋人関係になんかなったりしないよ」
あぁ、さぞかしお辛いことでしょうに。好きな人を取られて、
「ありがとうございます夕凪さん。自信持てました」
「どういたしまして!」
明るく振る舞ってはいるけど、徐々に歩くスピードが上がっているのは、さっさと済ませたいって表れでしょ? 苦しんでしょ?
夕凪に倣って私も足を速め、距離を縮める。
「プレゼントは純粋に貰って嬉しい物を送りたいんですよ」
「大丈夫! きっと青空さんから貰った物なら何でも喜ぶと思うよ!」
「ありがとうございます。でも、できれば役立ててもらいたいから……夕凪さんは何か華美君にプレゼントしたことありますか?」
「あたし? あたしは……………………特にない!」
あからさまに怪しい反応をみせた夕凪は、さらに足を速めた。隠すの下手すぎでしょ。
「おかしな間がありましたよ? 絶対に経験ありますよね? 参考程度に聞かせてほしいんですが」
「ないない! 過去を振り返るのに時間使っちゃっただけ! ほら、あたしと真琴ってその、腐れ縁? みたいな感じだからさ! 腐れ縁の意味はよくわかんないけど……何となく伝わるでしょ?」
「照れなくてもいいんですよ? 夕凪さん。誰にも口外しませんから、教えてください」
「ホントにないんだってばッ! それより、もう着く…………よ…………」
急に歩調を緩めたかと思えば、一点を見つめたまま立ち止まってしまった夕凪。その表情には驚きの色が。
「真琴と……朝陽、さん?」
華美と朝陽?
どうして今、二人の名前を挙げたのか。その意味を知る為に、夕凪が送る視線の先を追った。
……………………。
私の目に映ったのは、ファミレスの店内で楽しげに談笑している華美と朝陽、二人の姿だった。
……………………ぁんの野郎がぁ。
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