第79話雨がっぱ武勇伝
息子くん幼少期は雨になるとよく愚図っていました。外にも出られないし空気は重いし、昼から室内灯をつけるのはママも重苦しく感じていたので、きっとお互い悪循環だったのでしょう。
それでも買い物などに外出はするのですが、雨がっぱを雨の日に着るのが嫌いだった息子くん、外出前に毎回ひと騒動。雨がっぱを着せないと傘を上手くさせないため、何としても雨がっぱを着せたいママと何がなんでも雨の日には雨がっぱを着たくない息子くんとの壮絶なやり取りを繰り返していました。
そんな息子くんが雨がっぱを嫌いじゃ無くなったきっかけがあります。
その日は遠出をしていて朝からお日様が燦々と輝いていたので勿論雨の予定なんて考えず、天気予報も晴れの予報に比較的軽装備で外出。しかし出先でのトラブル等で思ったより時間を取ってしまい夕方近くに帰路につくことに。
すると空模様が忽ち一変、灰色の雲とイキナリの土砂降り。息子くんと慌ててそこから数分先にあったコンビニエンスストアに駆け込みました。
突然の夏の雨、ここ数年でゲリラ豪雨と呼ばれるより少し前なので夕立だったのだと思いたい。が、止む気配なしの土砂降りでコンビニエンスストアの傘は既に帰宅ラッシュに近い時間でもあったため駆逐されていました。
そこに一つだけ残されていたのが大人用の雨がっぱ。
止む気配のない雨、どんどん暗くなる空、近付く夜の気配。せめて息子くんが濡れないようにと雨がっぱを購入、ママはハンカチで申し訳程度の雨避けをしてコンビニエンスストアから駅まで十分程の距離を急ぎました。
ブカブカの雨がっぱを息子くんの腕に合わせて捲りあげ、雨の中を急いだその出来事は息子くんの雨がっぱへのイメージを変えてくれたようで、息子くん何とか無事に帰宅した家で雨がっぱを脱ぎながら「かっぱすごいな」と頻りに話していました。
冷えたため直ぐに風呂を沸かして息子くんの話を聞いてみると、どうやらかなりワクワクしたらしく雨がっぱが無ければずぶ濡れになるか、まだ帰宅出来ずに居たかもしれないと雨がっぱが武勇伝になってました。
その日購入した雨がっぱは息子くんには大きいので以降ママが使用していましたが、その日から息子くんは雨がっぱに愚図ることはなくなり「今日雨やからな」と何故か得意げに雨がっぱに袖を通していました。
それはそれとして傘をさすのが苦手な息子くんが傘をしっかりさせる様になったのは小学校高学年になってから。未だに何故傘をさしてずぶ濡れで帰宅していたのかわかりません。
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