第64話初めてのお泊まり会
通園していた保育園では年長さんになると希望者のみ参加型の一泊保育がありました。勿論希望しない場合は参加しなくても良いのですが、息子くんはかなり楽しみにしていたので参加することに。
ママと離れて一泊するのはこれが初めて。前日までは楽しみが先にあったのかずっと「あれをしたい」「ともだちといっぱいあそぶ」などと抱負と夢をいっぱい話してましたが、前日になるとどうにも様子がおかしい。
明日はママが迎えに来ないこと、一晩家に帰らないことなどが現実感を持って来たらしく、落ち着かないし不安そう。リュックに詰めたおやつを確認しながらソワソワしてました。
「どうしても帰りたくなったら先生に話せばママ迎えにいくからね」そう言っていつもより寝付きも悪く夜遅くになり漸く眠りについた息子くん。
ママも初めてのお泊まり会に行く息子くんに少し心細かったりしました。
翌朝も家を出るまでいつもよりかなり足取りが重い息子くん、玄関を出て青空を見て途端に元気に。
保育園に着く頃にはすっかりいつものペース、手を振りながら送り出されてママは保育園を後にしました。
その日は何年かぶりの自分の時間になる予定でしたが、ママはいつ電話があるかも知れないと落ち着かない夜を過ごしました。
いつもなら隣で寝ながら蹴ってくる足もない静かな夜はママにはまだ少し寂しいものでした。
翌日昼過ぎにお迎えに行くと、息子くんは満面の笑み。「息子くん、すごかったんですよ」と園長先生に声をかけられました。
夕方陽も落ちるとお泊まり組は暫く騒ぎながらも段々心細くなっていったそう、これは毎年同じらしく中には寂しくて泣いてしまう子もいると、そんな子に息子くん声をかけては「だいじょうぶ、息子くんがいるから」と、いつも一緒に遊ぶ三人組は完全にムードメーカーに早変わり。みんなを笑わせて、眠る時まで小声で話してみたりと結果今年は誰も帰りたくならず、朝も賑やかに過ごしたと、ママに気づいた息子くんがニッコリ笑って走ってくるその姿がいつもより逞しく見えました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます