第59話ママのタカラモノと息子くん
ママは息子くんが産まれるずっと前から気質的に収集癖があるので、なんだかんだと沢山集めていました。
玄関に積み上げられたヌイグルミなんかもそのひとつ。
息子くんが産まれる前にそれらママのタカラモノは押入れの天袋や引き出しや棚の上のかなり奥に仕舞い込み、息子くんの手の届くところには置いていませんでしたが、ところがこれらのタカラモノ、結局息子くんがいつの間にか手にしている。
保育園も年中になる頃には押入れの天袋から引っ張り出せるものは全て見つかりました。特撮ヒーローもののフィギュアなんてもはや見るかげもなく、昔好きだったアニメのフィギュアやグッズも、CDやDVDも集めていた食器類などあらゆるものが息子くんが小学校中学年になるまでに見事に破壊し尽くされました。
幾らか死守したママと息子くんの壮絶な攻防戦は善戦むなしくママの敗北に終始してます。
ママが大事にしているもの、それは息子くんにとって特別興味があったらしく、中には息子くんが壊してしまいママが思わず泣いてしまったことも。
そんな時は息子くんもバツが悪そうに困った顔をしていますが、三日も持ちはせずまたママの仕舞い込んだお宝探しに明け暮れていました。
今ではさすがに破壊はしなくなりましたが「これ俺が大きくなったら頂戴」なんていう図々しさが出てきましたね。逞しいというか、ママはタカラモノ手放しませんよ。
とはいえ、息子くんがプラモデルに興味を持った頃ママの仕舞ってあった限定プラモデルを見つけて、欲しがる息子くんに根負けして譲ったのは今でも遠い目になりながら空を見上げたくなる出来事です。
せめて最後まで作ってくれ、未開封だったんだぞと心の嘆きは息子くんには伝わらなかったようで。
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