第45話息子くんと夜行バス

 息子くん低学年の頃、初めて夜行バスに乗りました。大阪から東京への往復、二泊三日の小旅行でした。

 二ヶ月前から準備し、チケットの発券も一緒に行って自分の座席を確認したりドキドキソワソワ。当日は夕方から発着のある中心部へ向かい、ちょっと贅沢に点心食べ放題で腹を満たしてビルの上から街を見下ろしこれから始まる長旅へ最終確認。

 夜に中心部へ来ることはほぼなく、ネオンや商業ビルの灯りの中をバス停留所に向かって歩いている間もずっとソワソワ落ち着かない。

 ママは久しぶりの高速バスに腰の心配しかないものの、息子くんは背負ったリュックサックにワクワクを詰め込んでそれでも少しいつもと違う空気に緊張が見てとれました。

 いざバスが到着。息子くんと並んで座ると小声で興奮を伝えてくれます。

 走り出したバスの中、しばらく窓の外を眺めたり身の回りを観察したり忙しい息子くん。

 最初の休憩で立ち寄ったサービスエリアで早速お土産を手にしたけれど、それ地元やというママの心の声を他所に息子くんはウキウキ。飲み物を買っていざ東の都へ。

 日付が変わる頃、消灯になりカーテンをしめた座席ではしゃぎ疲れた息子くんが寝息を立てたのを確認してママも仮眠。東京へ着くのは早朝のため、寝なくてはママの体力がもちません。

 隙間から漏れる光が眩しくなる頃、先に目を覚ましたのは息子くんでした。トイレに行きたいという息子くんに最後尾にあるのを伝えると、他の人を起こさないようにソロソロとトイレへ。

 すっかり朝になったとはいえ起きるにはまだ早いのだけどと息子くんは見慣れない景色に興奮しきりで小声でずっと話してました。

 ようやく東京の地に降りたったママと息子くん。さて困ったことにあまりに早すぎて何処も開いていない。

 初めての東京での朝ご飯、馴染みあるファミリーレストランの看板が寝不足の目に染みました。

 そんな息子くん帰りも大興奮だったのですが、何よりママはバス停留所を間違えて走り回った事が一番記憶に残ってます。

 

 

 

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