第12話おゆうぎ会

 おゆうぎ会、保育園での行事のひとつ。息子くんの成長に感動し感激するママ至福のひととき。

 あまりママ友などは作らないので前準備も先生に聞いて、初めて参加するおゆうぎ会に挑んだのは二歳の頃。

 三歳を間近に息子くんに衣装などを揃えて息子くんたちは毎日楽しく練習。

 帰宅すればその話を身振り手振りやって見せて教えてくれるのがまた可愛らしく、「絶対見てね」と何度も念押しされながらいざ当日。

 張り切って登園した息子くんを見送り、ママは息子くんの支度で食べ損なった朝ごはんを食べいざ十時からというおゆうぎ会へ。

 見知った他のママさんと軽い挨拶をしたあと、ママさんたちとドキドキしながらの息子くんたちの出番を待ってました。

 「張り切ってたけど大丈夫かしら」「うちの子泣いちゃうんじゃないかしら」口々にママたちから上がる不安の声を他所にいざ本番。

 息子くんは前列の端から二番目、戸惑いながらもたまに他の所へ行ってみたり、たくさんの人の前できっと興奮していたのでしょうね。

 可愛らしいダンスが終わり、ママたちは息子くんたちのいるお部屋にお着替えのお手伝い。そして事件は唐突に起きる。

 ママの顔を見て最初はニコニコしていた息子くん、一旦お着替えが終わるとママたちはお部屋を出されるのですが、始まりましたこの世の終わりを迎えたかのような号泣。

 なだめすかしても、先生が声をかけても泣き止まない。そのうちつられてドンドンお部屋内に広がる号泣の輪。

 「ママ!ここは私たちがおさえておきますから、今のうちに!」「は、はい!よろしくお願いします!」「さあ!引きつけるわよ!」そんな会話が飛び交う室内、少し離れた場所にママたちが退避。遠く聞こえる泣き声にママたちのハラハラもマックス。

 お迎えの時になり、やっとお部屋にリターンするとニコニコ顔の息子くんたちが一斉に飛びついてきました。

 ところで、このママがはけたら号泣は四歳まで続き、最後のおゆうぎ会でようやく泣かなくなったんですが、泣かなくなったというより同じ組のお嬢さんが泣かないように声をかけていてくれただけだったり。

 息子くん、女の子には弱いようで。

 

 

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