第32話 デビュー

2ヶ月程のして、連絡が入る。

どうやら渡辺美花のレッスンが終わったようだった。

そして、上京してきたのだが・・・

「ユウちゃん、行きましょ♪」

シンの代わりにチカがついて来ることになった。

チカが行くと行った瞬間、シンは二人で楽しんでこいといい、おやっさんや姐さんまで二人で行くように命令してきたのだった。


「チカちゃんはしゃがない、遊びには後で連れていくから、まずは仕事だよ。」

「はーい♡」

チカは東京に来たことを楽しんでいるようだった。


そして、ヤスの家に着く。

「ヤス、出来たか?」

「物みたいに言わないでくださいよ。

まあ、完成しましたが・・・

いつも思うんですけど、どうやって才能を見分けているんですか?」

「何の事だ?」

「美花ちゃん、才能の塊じゃないですか。

メグも驚いていましたよ。」

「たまたまだろ、北条の所にいた子だからな、見つけたのは北条だ。」

「それでも此処に連れて来たのはユウヤさんでしょ、北条さんは姉の彩花ちゃんを薦めたそうじゃないですか。」

「まあ、そうだが、本人のやる気が無さそうだったからな、やる気のあった妹をデビューさせてやろうということになった。」

「流石ですよ。」

そうして、俺達はヤスに案内され、美花の元に行く。


「ユウヤさん!」

俺の姿を見ると美花が走ってくる。

「ユウヤさん、ありがとうございます。

お陰で凄く上手くなれました!!」

俺の手を取り感謝を伝えてくる。


「おお、頑張ったと聞いたよ、だけどこれからが本番だ、デビューするんだろ?」

「はい!もうレコーディングを行っています。」

「その調子だ、さて、じゃあ頑張った美花にプレゼントだ。

デビュー曲はCMに使われる事が決まったよ。」

「えっ?いきなりですか?」

「知り合いの企業に声をかけてね、新CMに起用が決まってる。」

「ど、どこの企業ですか?」

美花は恐る恐る聞いてきた。

「塚大のスポーツ飲料だ。」

塚大は国内大手の製薬会社だ、そこから出しているスポーツ飲料は人気があり、CMに起用される者は大物が多かった。


「いいんですか、私がCMソングを歌って・・・」

「大丈夫だ、ヤスから聞いているし、ちゃんとイメージに合う曲を作らせたと聞いたからな。」

「ありがとうございます!!」

美花は喜びのあまり俺に抱きついてきた。


「離れてください!!」

チカは俺と美花をあわてて引き離す。


「こ、此方の方は?」

「ユウヤ妻のチカと申します。」

俺はチカの頭を叩く。

「軽く嘘をつくな、こちらは金子チカ、金子組の組長の娘さんだ。」

「ユウちゃん、紹介が足りないよ!もっとユウちゃんとの関係をアピールしてよ。」

「まあ、見ての通りの関係だ。」


「ああ、なるほど。チカさんがユウヤさんの事を好きなんですね。」

「そうよ、だから私のものなんだからね。」

チカは威嚇するように美花の前に立ちはだかる。

「でも、アイドルになったら、惹かれるものはありますよね?」

「無いから!ユウちゃんにアイドル属性はないから!」

「そうですか?意外とわからないものだと思うのですが?」

「うーーー!!」

「二人とも落ち着いて、美花はチカちゃんをからかうのは止めて。」

俺は言い争い出した二人を止める。


「えー、レッスンはこれで終わりです。

美花は家に帰っても良いよ。2ヶ月間ご苦労様。」

「はい、ありがとうございます。」

「ヤス、お疲れ、また何かあったら頼むよ。」

「任せてください。まだまだ借りが有りますからね。生きてる内に完済しないと。」

「また、貸し付けてやるから、完済は諦めな。」

俺とヤスは笑いあっていた。


後日、美花の歌が売り出される。

全国CMで流された歌声に全国が酔いしれ、

CDはミリオンを達成、一曲目から一流歌手の仲間入りとなるのであった。

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