第33話 姉の嫉妬
家に帰った美花は家族に挨拶して、デビューが決まった事を伝えた。
「えっ、美花デビューするの?」
驚いているのは彩花だった。
あれから2ヶ月、彩花は地方の仕事を行い出したが、まだ無名の状態だった。
「うん、レコーディングも終わったから、来月にはCDが出るよ。」
「ちょ、ちょっと!デビューってCDデビューの事なの!」
美花の説明に彩花はさらに驚く。
デビューすると言っても、自分と同じく地方の仕事だと思っていたのだが・・・
「うん、それにタイアップも決まったの。」
美花は誇らしげに彩花と両親に塚大のCMソングになった事を伝える。
「あ、あり得ない、なんであんたが、そんないい仕事を取れるのよ!」
「全部ユウヤさんのお陰でなんだよ。」
「ユウヤ?」
「お姉ちゃんが断った人だよ。」
「あーあいつが!じゃあ、あんた枕営業したの!」
「して無いよ、何でユウヤさんを悪く言うかな!・・・あっ、でも、ユウヤさん相手ならしてもいいかも・・・」
美花は少し想像して頬を赤く染める。
「ちょっと待ってよ、じゃああの時、私が話を受けていたら・・・」
「お姉ちゃんが私の立場だったかもね。」
「そんな!代わりなさいよ!」
「無理だよ、それにお姉ちゃんも北条さんからデビューさせて貰ったんでしょ?」
「私はもっと大きな所で輝きたいの!地方回り何て嫌よ!」
「仕方ないじゃない、お姉ちゃんが断ったんだから。」
美花と彩花は喧嘩を始める。
「二人とも止めなさい!彩花も美花のデビューを喜んであげなさい!」
母親の花に止められ二人は離される。
「ふん、面白くない!」
彩花は自室に籠ってしまう。
今まで美花は彩花の引き立て役だった。
全ての面で姉の彩花が勝っていた為に美花は自信なく後ろからついて行くだけだった。
しかし、此処に来て美花に抜かれてしまった彩花はプライドに傷がついていた・・・
翌日、彩花は北条に詰めよっていた。
「北条さん、何で美花が全国デビューで私は地方何ですか!」
北条に美花の話を伝え、自分も全国デビュー出来るように訴える。
「美花が全国デビューか・・・流石ユウヤさんだな。」
「ちょっと、感心してないで何とかしてよ。」
「無理だよ、何とかするためにユウヤさんに来て貰ったのに、彩花が断ったのだろ?」
「だって、知らなくて・・・」
「君に来た幸運を手放したんだよ、それとあの件で私も叱られてね。
君に必要以上に肩入れ出来なくなったんだ。」
「何それ!じゃあ私移籍するから!良いよね!」
「・・・契約があるが条件無しで破棄してもかまわないよ。」
「じゃあ、破棄するわ!私の美貌と歌声があれば全国デビューなんてすぐなのよ!」
彩花はそういい放つと事務所を後にした。
「出来るものならやってみろ・・・」
北条はその後ろ姿を見送るだけだった。
それから彩花は色んな芸能事務所を受けてみた。
まずは大手から・・・
しかし、どこも門前払いを受けてしまっていた。
各芸能事務所には彩花の話が伝わっていた。
各所の経営に手を出している金子組と敵対する事を恐れた事務所は彩花を取ろうとしなかった。
そして、彩花は良くわからない事務所まで面接を受ける・・・
其処は極道の末端が経営する、裏AV専用の事務所であった。
言葉巧みに契約させ、美花の姉と言う肩書きでAVデビューさせる手筈になっていた。
図らずも全国デビューは叶いそうではあったが・・・
「や、やめなさい!やめて!こんなの聞いてない!」
「諦めな、お前は社長に騙されたんだよ!」
「止めてよ!いや!脱がさないで!」
彩花は一枚ずつ服を剥ぎ取られていく。
男達は撮影しながら、下卑た笑いを浮かべ服を剥ぎ取っていく。
何れだけ嫌がろうと関係なく全てを剥ぎ取った。
「さて、いよいよだな。」
「いや!私、初めてなの!こんなの嫌よ、止めて!」
彩花は必死で抵抗する。
「いいね、その泣き顔、ほらカメラを見な、処女として最後の顔を良く撮っておいてやるよ。」
彩花の視線がカメラのレンズと合う。
「いやぁーーーー!!」
その瞬間、ドアが破られる。
「な、なんだ!」
「お邪魔するよ。」
「てめぇ、金子組のシンか!」
「御名答、俺も有名になったもんだ。」
「何の用だ?」
「何、其処の娘の裏ビが出回ると美花の価値が落ちるのでな、邪魔しに来たんだよ。」
「これは契約を交わしているんだ!文句はねぇだろ!」
「契約?この歳の子とAV契約に何の効果があるんだ?
そもそも、俺とやり合うつもりか?」
シンの殺意に男達が怯む。
「わかったのなら失せろ。文句があるならウチが相手になってやる。」
男達は裸で逃げていく。
「ありがとうございます・・・」
助かった彩花はシンに御礼を言う・・・
「女を助けるのが男の役目さ、しかし、君は魅力的だね。」
「そんな・・・わたしなんて・・・バカな女なんです、妹に嫉妬して、あまつさえこんな事になるなんてか・・・」
「自分を卑下するもんじゃない、俺の目にはキレイな君の姿しか写っていない。」
「そんなわたしなんて・・・」
シンは優しくキスをする。
「あっ・・・」
「優しくするよ・・・」
シンは役得とばかりに彩花をいただくのであった・・・
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