第2話 躊躇
“主婦と警察官が刺された現場に来ております。刃物を振り回しながら容疑者の男は… あちらに見えますスーパーから出て、駐車場をうろついていたようです。そこに、近くの交番から警察官3人が向かった…”
「今回、容疑者の男は警察官を刺した後、店内に戻って主婦に切りつけたようなんですが… どう考えますか高橋さん…」
「刃物を振り回す人間は、常軌を逸している訳です。そうなると、近くにいる一般市民がいつ犠牲になるか分からない。そうであれば、出来るだけ早く警察官は身を挺して市民の安全を守らなければならない… そうであるならば、拳銃使用もやむを得ないと考えます。警察官が拳銃使用を躊躇しなければ、主婦の方に向かって行くことは無かった。幸いに主婦の方は軽傷で済んだから良かったんですけど…」
「…、今入った情報によりますと… 今回亡くなった警察官は、三年前別の市で起こった容疑者に発砲し、死亡させた警察官の方… 同じ警察官だったんですねぇ…
高橋さん、どうお考えますか…」
「…」
「…、前の件があったので… それで躊躇したんですかねぇ…」
「昨日、放送した警察官殺傷事件の続報です。亡くなった警察官は昨日お伝えしたように、容疑者に発砲して死亡させた警察官の方… と、お伝えしました。事件の後、亡くなった警察官の方は、容疑者死亡を受けて退職を考えたようなんですが、交番の近隣住民による働きかけにより警察官に留まったようなんですねぇ… 近隣住民の信頼が厚かった…」
「警察官の鑑… そういった方だったんですねぇ…」
「高橋さんにしては珍しですねぇ… 人を褒めるなんて」
「…」
「更に続報なんですが、スーパーで容疑者の足を撃った警察官は、亡くなった警察官の息子さん…」
躊躇 豊崎信彦 @nobuhiko-shibata
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