晴々としたその景色
――だが、ニライ郷から少女を一人他界へ渡らせることなど、その地を統括する閻魔が許さないだろう。
閻魔。人に関わる理、その形作りを決定する、六十四体在る、神に近しい存在。
ニライの閻魔が木洩日を連れ帰すことを許さない。――衝突は必死だろう。
(今の私の力では――いや全盛期であった私の力を持ってしても、あの存在には敵うまい)
不滅と思われた力をもってしても。
それだけの力では、状況は打ち崩せない。
(――であれば)
(他の神々から力を借り受けるほかあるまい)
葉弥栄は険しい表情でそう結論付けた。
――そして、顔を上げると。
ふと、その瞬間、今在る場所が特別に鮮明に、美しく瞳に映されたような気がした。
一陣の風に不思議な匂いを感じた。
揺れる木々が、何故だか愛おしかった。
境内の景色全てに風情を感じ、そして腐り落ちた鳥居の向こう、木々で遮られた薄闇に顔を向ければ――。
そこに、悠久を見た。
葉弥栄ノ×××××神は様々な思いが浮かぶ微笑みを浮かべると、――その悠久に別れを告げ、狂おしいまでに愛したその地から飛び立った。
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