名 ~2~

『……×××××神社』


 図書館で見つけた、街の古い地図。

 最初に目に留まったから。その地図を選んだ理由はなんでもない、そんな訳だった。

 そこで見つけた、木洩日にとっての大切であるその音を持つ神社。


『少しでも私と繋がりがあったほうが、お祈りも届きやすいかな……』


 木洩日は悲し気な微笑みを浮かべて、地図を見下ろしながら独り言ちた。


『行ってみよう――』


 困ったことがあれば、まず神社にお祈りする。

 亡き祖母がいつもそうしていたその習慣が、木洩日にそう行動させた。


 そしてそこで目にしたものは、忘れられた社。

 錆び付いた鉄板に刻銘されていたその名は――。


 

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