雪、村

吐く息が凍り、指先の感覚が鈍い。

一歩一歩白銀の山道を、鉛のような身体を支えながら、うんざりした気分で踏みしめていく。

ふと、突然視界が開ける。村だ。

周りを山々に囲まれた盆地にあるこの村は例年冬は雪に閉ざされる。

特徴的な茅葺屋根を持つ古民家が未だに多いのは、やはりこの土地に合っているためであろう。

日暮れ時ということも相まってぽつりぽつりと灯りを付けた家が提灯の様に浮かんで見える。

暗くなる前に帰ろうと、歩みを速めた。



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