荒天

暖炉に薪を入れ、手袋を脱ぐ。

炎の灯りで部屋が照らされる。

ソファに横たわり、目を瞑る。

あれやこれやと考えを巡らせているうちに、すーっと暗闇に落ちていくような感覚に捕らわれ、無性に肺が重く呼吸が苦しくなる。

それは真っ黒な海だった。平穏な、しかし重たい海かと思えば荒れ狂う風と波で息が絶え絶えになる。

誰かに助けを求めようともその手を掴むものは無く、ただ我武者羅に腕を回し大きく振り回す。塩水が重たく身体に纏わりつき、海底に引き込もうとする。

「助けてくれぇー!!」

声にならない叫び。

すーっと静かになる。パチンパチンと薪の爆ぜる音がして目を開けた。

なんだったかな。

いつの間にか眠っていた。空には月が出ている。

立ち上がり、時間を確認して、何か食べることに決めた。

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