ヒーローになるためには5
えるは面接試験についての説明を再開した。
「面接試験をクリアした受験生についてだけど、2日後の3月11日木曜日にヒーロー筆記試験があるから」
受験生達はえるの言葉を一言一句を聞き逃さないように耳を傾けていた。
全知全能への受験テストは3段階ある。
第1に面接、それを通過した者だけが第2の筆記試験を受けられる。そして第2を通過した受験生のみが実技試験に挑める。
3段階の試験によって
その3段階の試験を合格した受験生は、晴れて研修生となれる。
全知全能での研修生とは、1年間の研修期間のことである。
研修期間が終われば実習生となり、2年間の実習期間を経て一人前と認められる。
噂では、研修期間中や実習期間中に全知全能をクビになることも珍しくないとか。
しかし、研修生や実習生の詳しい活動は公にされていない。
だが、例外もある。3段階の試験をパスをして全知全能への入社を認められた人物がいる。
その人物は現在、全知全能の幹部まで上り詰めている。
ヒーロー名は
感情の起伏が激しい人だとか。
まあ、今、目の前に別の天才がいるのだが。
えるは飴棒をペロペロと舐める。
「やっぱり飴棒はプリンアラモード味が最っ高ー」
飴棒を舐めるえるは、うっとりとした表情をする。受験生は、みんな思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
「ヒーロー筆記試験については、案内状をよーく確認しなさいよね」
今回の受験生に配られた案内状についてだが、表紙に大きく受験ガイドブックと書かれており、その厚さは学校などで使われる国語辞典と比べて大差がない。
ガイドブックの内容は、試験についてだけではなく、豆知識やお助け情報が書かれている。
しかし、試験内容に関しては伏せられている。
「ひっく」
ひっく?今、目の前の壇上から聞こえたよね?
たぶん、気のせいだろう?
「ひっく」
えるの顔が紅潮して瞳が潤んでいた。
近くにいた受験生が、こそこそ噂話を語りだした。
「噂で聞いたんだけど、元気系少女は飴棒で酔うらしいぞ」
「はっ?そんなわけないだろ」
「じゃあ、目の前のあれは?」
「…酔ってるな」
「わっはっはっはっはっはっはっはっ」
笑い上戸か!
「バァーロー、何で男ってスカートの中ばかりをチラチラ見ようとするのよ」
受験生達は、どうしたものかとみんな反応に困っている。
それからすぐに関係者専用扉から、酔い覚ましドリンクを持ったスタッフが現れて、ドリンクを飲んだえるは平常運転に戻った。
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