第8話 歪

1人での留守番に慣れてきたころ


私は母の持っていた紫色のハイヒールを見つけた。


とても綺麗で”自分も履いてみたい”という衝動が生まれた。


留守番中に”見つかったら怒られる”と理解しつつも、

私はそのハイヒールを手に取ってしまった。


部屋に運び入れ、決して汚さぬようにしながら遊んでいた。

使い終わったら元の場所に戻そうと思いながら、

私は部屋に置いたまま眠ってしまった。


案の定、

帰宅した母に見つかり、しっかりと怒られた。


無論、私が悪いことは承知している。


当時の私は「自分が悪い」という事の自覚意識よりも

”失望されないようにしなければいけない”という意識が

パーセンテージを占めていた。

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