第十一章
第十一章のあらすじと主な登場人物
【注意】
・第十章までのネタバレを多分に含んでいますので、未読の方は第十章まで読んでから御覧いただくことを推奨します。
・年齢の記載がある人物は、第十章時点でのものとなります。
・当ページは作者の都合で予告なく変更・削除される場合があります。
【これまでの簡単なあらすじ】
現世で交通事故に遭い、異世界ヴァースに若返って転移した宇田修介は、ルセリア王国グラスター領で冒険者として新たな人生を送っていた。
王国暦三一六年五月。グラスター領の南部にある大森林から妖魔の大軍が出現する『大侵攻』が発生した。領主グントラムは自ら兵を率いて出陣し、領都からわずか二日の距離にあるカシェルナ平原で決戦に臨んだ。
修介はこの戦いに傭兵として参加。深手を負いながらも上位妖魔サリス・ダーの討伐に貢献する活躍をみせ、戦いは領主軍の勝利で幕を閉じる。
だが、事態はまだ終息していなかった。
修介が街を留守にしているあいだに、サラの屋敷が謎の魔術師の襲撃を受け、エルフの少女アイナリンドが攫われてしまったのだ。
アイナリンドを取り戻す為、旅立つ決意をする修介。
一方、領主の息子セオドニーは、ヴィクロー山脈に出現したという白い塔の調査の為、独自に調査団を派遣しようとしていた……。
【第十一章の主な登場人物】
●宇田修介
人間族。十八歳(中身は四十三歳)。
本作の主人公。現世で交通事故に遭い、異世界ヴァースに若返って転移した元中年サラリーマン。善良で臆病な小市民だが、冒険者として仲間と共に戦っていくなかで少しずつ心身ともに成長していく。
異世界(地球)から転移してきた為、魔力を持たない特異体質。
カシェルナ平原での戦いでは左腕を骨折しながらも、囮となって上位妖魔サリス・ダー討伐に貢献するなどの活躍をみせた。
●アレサ
修介が異世界転移の際に神を自称する老人から渡された剣……に搭載されていた人工知能。音声による意思の疎通が可能で、主に知識面で修介をサポートする。
修介を『マスター』と呼び、陰で支え続ける苦労人(剣)。
本体は柄の部分に付いている宝石で、現在は地下遺跡で手に入れた魔剣に取り付けられている。
●ナーシェス
人間族。二十四歳。
枯れ木のようにやせ細った魔術師。陰気そうな見た目に反して明るく人当たりの良い性格。
幼少の頃に病で死にかけていたところ、通りすがりの魔術師に救ってもらったことが切っ掛けで魔術師を目指す。
魔力が異様に弱い反面、人並み外れたマナを持つ特異体質の持ち主。その体質を生かし、魔獣ヴァルラダンとの戦いで死にかけていた修介の命を救ったことがある。その後、薬草採集の依頼で修介と再会し、意気投合。以降も行動を共にするようになる。
ポーション作りが得意。
●デ―ヴァン
人間族。三十三歳。傭兵。身長二メートルの大男。気が優しくて力持ちを地で行く性格の持ち主。
弟のイニアーとひとまとめで『傭兵兄弟』の異名で呼ばれる巨漢の戦士。
無口で、基本的に「ああ(肯定)」「うう(否定)」のみで会話する。空を見上げてぼーっとしていることが多い。
修介とは輸送部隊の護衛依頼でパーティを組む。上位妖魔と互角に戦えるほどの高い戦闘力の持ち主だが、戦闘終了時にはいつも重傷を負っている悲運の人。
根が単純なので賭け事に弱い。でも遊ぶのは好き。
カシェルナ平原の戦いではランドルフと共に上位妖魔サリス・ダーと死闘を演じた。
●イニアー
人間族。二十八歳。傭兵。
兄のデ―ヴァンとセットで『傭兵兄弟』の異名で呼ばれる経験豊富な戦士。
社交的だが内面は決して晒さないタイプ。常に冷静で、周囲をよく見ている。
人を食ったような言動が目立つが、兄のデーヴァンに対してはおそろしく従順。
修介とは輸送部隊の護衛依頼でパーティを組む。
カシェルナ平原の戦いでは戦場に不慣れな修介を様々な面で支えた。
何気に絵を描くのが得意。
●シーア
人間族。二十七歳。生命の神を信仰する神官戦士。
凛とした雰囲気を持つショートカット美人。普段は街の神殿で治療師として働いているが、たまに
修介とは輸送部隊の護衛依頼で一時的にパーティを組んだ。修介が行方不明となった際には率先して捜索に向かおうとするなど、優しく真っ直ぐな性格の持ち主。
レギルゴブリン率いる妖魔軍との戦いでは高度な神聖魔法で味方の窮地を救うなどの活躍をみせた。
アイナリンドを攫った謎の魔術師をひとりで追おうとする修介を諫めるが……。
●サラ・フィンドレイ
人間族。二十二歳。魔術師。好奇心旺盛な魔法大好き娘。
マナを持たない修介の体質に興味を持ち、妖魔討伐依頼でパーティを組んだことをきっかけに、以降もなにかと一緒に行動するようになる。
祖母は伯爵位を持つ魔法学院の偉い人。
地下遺跡で手に入れた水晶玉を狙った謎の魔術師に襲撃され、第十章終了時点では安否不明となっている。
●ノルガド
ドワーフ族。八十一歳。鍛冶の神を信仰する神官戦士であり、経験豊富な冒険者。
修介が初めて受けたゴブリン討伐依頼でパーティを組む。面倒見がよく、修介にとっては師匠的な存在。
サラの祖母とは旧知の仲で、孫の面倒を見るよう頼まれている。
腕利きの銀細工師で、グラスターの街で小さな店を営んでいるが、しょっちゅう留守にしてはサラに文句を言われている。
●ヴァレイラ
人間族。二十四歳。ガラの悪い金髪女戦士。
輸送部隊の護衛依頼で修介とパーティを組み、以降も相棒兼剣の師として行動を共にするようになる。
サラとは数年来の付き合いで仲が良い。
見た目に似合わず小動物などの可愛いものが好き。
謎の魔術師に襲撃されたサラを守ろうと奮戦するも力及ばず敗北。第十章終了時点では安否不明となっている。
●アイナリンド
エルフ族。十七歳。イシルウェの双子の姉。
艶やかな銀色の髪を持つ美しい容姿の少女。
素直で純粋な性格の持ち主で、修介が危うさを感じるほどのお人好し。サラとは姉妹のように仲が良い。
故郷の森を出て行った弟を探して旅をしていたところ、森で気絶していた修介を匿ったことが切っ掛けで一時的にパーティを組む。
上位妖魔グイ・レンダーとの戦いでは精霊魔法を駆使して勝利に大きく貢献した。
後に修介と再会し、冒険者を目指してグラスターの街を訪れるが、謎の魔術師の襲撃に巻き込まれ攫われてしまう。
●イシルウェ
エルフ族。十七歳。アイナリンドの双子の弟。
郊外演習で森を訪れた修介を野盗と勘違いして襲い掛かるも、魔法が効かないことに動揺した隙を突かれ敗北する。
人間を毛嫌いしており、相手を見下すような物言いをするが、妖魔に襲われそうになっていた子供や隊商を救うなど根は善人。
マッキオと共にヴィクロー山脈の調査に赴いていたところ、デヴァーロの襲撃を受け谷底に落ちる。第十章終了時点では安否不明。
●マッキオ
人間族。四十二歳。探索者。
魔法学院出身で古代魔法帝国の知識に精通している。地下遺跡の探索に人生を懸けており、その為には手段を選ばない。無類の話好きで空気を読まずに喋りまくる迷惑極まりない男。
大柄でふくよかな体格をしているが運動能力は高い。
修介たちのパーティと地下遺跡探索を行い、マンティコアとの戦いでは止めを刺すなど活躍した。
その後、イシルウェと共にヴィクロー山脈の探索中にデヴァーロの襲撃を受ける。辛くも逃げ切ったようだが……。
●グントラム・ライセット
人間族。四十六歳。グラスター領を治める領主。辺境伯。
高い武力とカリスマ性を持ち、力強く民を導く優秀な領主。強面で頬に傷がある。
生粋の武人であり、魔獣ヴァルラダン討伐戦やカシェルナ平原での戦いでは自ら軍を率いて勇敢に戦った。
ひとり娘であるシンシアを溺愛している。
●シンシア・ライセット
人間族。十七歳。グントラムの長女。
ゴブリンに襲われそうになっていたところを修介に助けられ、それがきっかけで生活の面倒をみるようになった世間知らずのお嬢様。
常に民を気遣う優しさと美しい容姿から多くの領民に慕われている。大らかで優しい性格だが、ここぞという時には絶対に譲らない我の強さを持つ。
●セオドニー・ライセット
人間族。二十二歳。グントラムの次男。
十五歳の時に己を見つめ直す旅に出て、数年後に帰ってきたら性格が変わっていたという謎多き人物。常に貼り付いたような笑顔を浮かべていてとても胡散臭い。
王都の冒険者ギルドや魔法学院と独自のパイプがあるなど様々な人脈を持ち、内政や外交で多くの功績をあげるなど、領地運営の中枢を担う。
何かと修介を気に掛けているようだが……。
●ランドルフ
人間族。二十六歳。騎士。
『最強の騎士』の異名を持つ一九〇センチメートルを超える長身の戦士。生真面目で融通の利かない性格。
当初は修介を不審人物として警戒していたが、冒険者として活躍する姿を見て徐々に認めていくようになる。
幼い頃に妖魔に故郷の村を滅ぼされており、妖魔に強い憎しみを持つ。カシェルナ平原の戦いでは村の仇である上位妖魔サリス・ダーの討伐を果たした。
●ブルーム
人間族。三十一歳。戦いの神を信仰する神聖騎士。
髭面の強面だが、人懐っこくひょうきんな性格の持ち主。修介が異世界で初めて仲良くなった人物であり、兄貴分的な存在。
昼間から飲むほどの酒好き。でも弱い。
一見ちゃらんぽらんに見えるが、中位妖魔を単独で討伐したり、瀕死の重傷を負ったサラを神聖魔法で救うなど、やる時はやる人。
●マシュー・アシュクロフト
人間族。三十八歳。騎士。
経験豊富な指揮官。
修介が訓練場時代に郊外演習に赴いた際に指揮をとった。
調査団を率いてソルズリー平原に赴いた際に魔獣ヴァルラダンと交戦。重傷を負うも奇跡的に一命を取りとめる。
その後、療養生活を送っていたが、セオドニーの命令で遺跡調査団の団長としてヴィクロー山脈に赴くことになる。
●ルーファス
黒色のローブを身に纏った痩身の魔術師。色白で顔立ちは凡庸。
水晶玉を奪う為にサラ邸を襲撃。阻止しようとしたサラとヴァレイラを子供扱いするほどの実力者。
水晶玉を奪った挙句、アイナリンドを攫って何処かに去って行った。
●キリアン
ルーファスの使い魔その一。
自らの意思で獣人に変身できる能力を持つ
一族を皆殺しにしたルーファスに強い憎しみを抱いているが、魔法の力で強制的に忠誠を誓わされている。
従魔の錫杖を使って妖魔の大侵攻を引き起こした張本人。
カシェルナ平原で修介と戦い右腕を失うも、逃亡には成功した。
●デヴァーロ
ルーファスの使い魔その二。
人間の上半身と山羊のような脚を持つサテュロス族の男。
ヴィクロー山脈を調査していたマッキオとイシルウェを襲撃する。
●バーラング
ルーファスの使い魔その三。
老人の顔と獅子の身体を持つマンティコア。
ルーファスの命令で水晶玉を求めて地下遺跡に赴いたところ、修介のパーティと遭遇。強力な魔法で修介達を苦しめるも、最後は吸命の術で生命力を吸い取られて死亡した。
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