第11話裏の王都

「なるほどなるほど……。つまり春香という者がこの世界で一番強いというわけだな」


 儂の問いかけに、聖騎士長は答えづらそうな反応をする。


「んー……そこは何とも言えないな。転生者様たちは互いに全力で戦うなんてことはしていないからな」

 

「そうか……。え?」


 聖騎士長の発言に思わず驚く。今此奴、転生者”たち”と言ったか? 


「おい男。転生者なるものは一人ではないのか?」


 そんな儂の疑問に、男と門番は驚愕の表情を作る。


「何だお前さん、そんなことも知らないのか? この世界の常識だぞ」


「い、いや。儂は辺境の村の育ちだからな。常識はない」


 少しの動揺。此奴らと長話をしているとボロがでる。今は儂が魔族側の転生者だとバレていないからいいものの、バレたら簡単に殺されるだろう。

 噂に聞く限り転生者はものすごい実力者らしい。それは劣勢だった人間サイドを優勢に導くほどの力。

 正直今の鷲が全力で戦ったとて、勝てるかどうか……。それにそんなのが複数人もいるとなると、なおさら分が悪い。とりあえず今のところは様子見だけ。

 儂は持っている剣を地面の捨てると。


「それでは王都に入らせてもらう」


 ズカズカと王都の門をくぐった。

 ……にも関わらず。


「それじゃあまずは俺がオススメの飯屋に連れてってやるよ。もちろん奢りだ」


 なんか知らんが先ほどの聖騎士長なる男が付いてきた。


「何なのだお主? 何故付いてくる? 邪魔だ」


「まあそういうな強き御仁。あんたほど得体の知れない実力者をほっとくわけにはいかないんだ。でも俺に勝ったら中に入れるって約束しちまった以上、入れないわけにはいかない。

 だからこうして俺が監視と案内役を担ってるってわけだ」


 わはははと楽しそうにそんなことを言うが、儂にとっては迷惑極まりない。

 何故ならこの男、ものすごい目立つ。


「あー聖騎士長様だ」


「今日も逞しいお姿だ」


「隣の男は誰だ?」


 なんて、ものすごい人目を集める。とりあえず此奴と離れなくては、占い師とやらを探すことができない。だが目立つことは避けたい。

 とりあえず良さげなもの影なんかはないか?

 儂はキョロキョロと王都の中を探すと、ちょうど身を隠すにはうってつけの路地裏があった。あそこに入るか。

 儂は聖騎士長が目を離した一瞬の隙に、路地裏に入り込む。

 入るとあんだけうるさかった物音は一切なくなり、不気味は静けさだけがした。

 そんな静けさの中でも、何やら人の話し声がした。この路地裏は一本道らしい。

 この声のする方を避けて通ることはできいであろう……。

 まあ無視して進むか。

 儂はカクカクと路地裏を進み、声のする方へと進む。進んだ先に見たものは、三人の男が一人の女を脅迫している場面だった。

 



























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