第5話転生者
「まず始めに説明したいのですが、
「うむ。こことは違う別の世界から来た」
「でしたら主人様は転生者でございます。主人様のようなケースは初めてではございません」
「ほう……。儂の他にもそのようなものがいるのか」
まあ儂だけこの世界に飛ばされると言うのもおかしな話だし、なんら不思議ではないな。
「なぜ儂がこの世界に転生されたのかお主はわかるのか?」
「はい。転生者はこの世界の均衡を保つために呼び出されています」
「均衡とな?」
「はい。この世界……名をエデンと申すのですが、この世界は二つの種族が存在します。それが魔族と人間でございます。我ら魔族は何百年という間、人間たちと抗争を繰り広げてきました。
しかし腕力で勝る魔族が人間に負けるわけがなく、私たちは優勢でございました。
そして我らが人間の7割を滅ぼした時、奴ら異世界人はやってきたのです」
「ふむ……つまり人間を絶滅させないために他の世界から助っ人として飛ばされてきたということか?」
「はい。しかし転生者の実力は私たちの想像を絶するものであり、均衡は一気にひっくり返されてしまいました」
「なるほどな。大方理解した」
つまり儂よりも前に来た転生者が魔族と人間の均衡を覆し魔族が劣勢になったから儂が召喚されたと。
なんと素晴らしいことか! どうやら人間はこの世界にも存在するらしい。
ならば儂の目標は定まった。
「おいキマリ。儂はこの世界の人間を滅ぼす。何か異論はあるか?」
クククッと笑いながらキマリに問うと、キマリもつられるように笑みを浮かべ。
「いえいえ。私はこの状況を覆してくれるお方が現れたこと、心から感激しています。主人様の野望は我ら全魔族長年の夢であります。
主人様が人間という種を絶滅させるその日まで、忠誠を誓わせていただきます」
ニヤリと笑みを浮かべるキマリは心底嬉しそうだ。相当人間のことが嫌いなのだろう。
さて、最終目標は決まったが、まだその前にやることがたくさんある。
このまま儂一人で人間の国に攻め込んだとしても、勝てるかどうかわからぬ。
劣勢だった状況を一気に覆すほどの力を持った奴が敵サイドにいるとなると、一筋縄ではいかぬだろう。
無策に突っ込んで殺された……なんてことは、絶対にあってはならん。
「とり合えず、お主が先ほど使った魔法のようなものを儂にも教えてくれ」
そう頼むと、キマリは難しい顔をして。
「申し訳ないのですが、主人様は魔術を使うことができません」
そんなことをいった。
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