第4話魔族の世界

「何の真似だ?」

 

 そう問いかけると、巨漢の化け物はウガウガと何か話している。だめだわからん。

 この世界の言語が全くわからない。

 これはかなり由々しき事態だ。コミュニケーションが取れないとなると、儂が人間を絶滅させると言う野望も難しくなる。

 そもそもこの世界に人間が存在するのかわからないのだから、もしかすると前提から間違っているのかもしれない。

 まあ仮に人間がいないとしても、今後のことを考えてこの世界の言語を理解する必要がある。魔法なんて便利なものが存在するのだから、言語を理解する魔法とかも存在しないのだろうか。


「おいそこの化け物。儂はお主たちとコミュニケーションを取りたいのだが、この世界には言語を理解できる魔法のようなものは存在しないのか?」


 俺はひざまずいている目の前の化け物に問う。どうやら俺の言葉は理解できるらしいので、俺は一方的に話しかける。すると巨漢の化け物は立ち上がると、ついて来いと言うジェスチャーをしてくる。

 そして巨漢の化け物は、この廃れた村の中で一番大きな家に入る。儂もそれに続いてその家の中に入ると、化け物はタンスのようなものの中からペンダントのようなものを取り出し儂に渡してくる。


「何だこれは? 首につければよいのか?」


 すると化け物はコクコクと頷く。儂は手渡されたペンダントをつけ化け物に問いかける。


「つけたぞ。これは何だ?」


 そう問いかけると、化け物は口を開けて。


「それは言語理解のペンダントでございます」


 いきなり喋り始めた。

 これには流石の儂も少しばかり驚く。


「何と便利な! これはもらってもよいのか?」


「はい。私たちしもべのものは、すべて主人あるじ様のものですから」


「主人? この儂が?」


「はい。魔族の世界は弱肉強食。強きものに弱きものが従うのは当然でございます」


「なんと! それは素晴らしい考えだ」


 儂は早くもこの世界を気に入った。あの世界は今思えば本当にゴミのような制度であった。生まれが貴族というだけで横暴な態度をとるゴミどもに儂はムカついていた。そしてそれになんの疑問も抱かずにただ忠実にしたがっていたカスどもにはもっと腹を立てていた。

 だがこの世界は違う。強いものが偉い。シンプルにして真理。そんな当たり前が、儂はたまらなく嬉しかった。

 

「なあ化け物。お主、名はなんと申す?」


 儂の僕になった緑の化け物に名を尋ねる。


「私はキマリと申します。どうぞお役立てください」


「そうかキマリと申すか。ではまず始めに、儂にこの世界のことを教えてくれ。儂はこことは違う別の場所から来たのだが、自分でも今何が起きているのかわからないのだ。だから貴様が持っている知識を儂にすべて寄越せ」


「承知いたしました。主人様」


 キマリは不敵な笑みを浮かた。























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