第2話異世界

 さて……どうしたものか。

 とりあえずここは森の中。道という道もないため、ただひたすら歩き続けているがそれでも何も見えてこない。

 

「走るか」

 

 儂はトントンとその場で軽くジャンプすると、そこから全速力で走り出す。この疾走感。間違いなくあの頃のものだ。幾人もの敵を追い詰め、殺戮に没頭していたあの頃のものだ。

 

「フハハハハ! 愉快愉快! 本当に若返ったのだな」


 ドドドドと全速力で走っていると、奇妙な高揚感が溢れ出す。この気持ち。儂はどうしてこんな気持ちになっている? 若返ったからか? それとも……。

 まあ良い。頭を使うのは苦手だ。体がの感じるがまま生きていく。それが儂の生き方だ。

 それから走り続けた。何時間、何十時間と長いこと走り続けた。それでも呼吸は乱れず、疲れも一切感じない。

 夜が明け日が昇っり、ようやく村のようなものを発見する。荒廃し、住人もいないであろうこの村。だがここにきてようやく見つけたこの世界の手がかり。

 森を走って気がついたことだが、多分この世界は儂の住んでいた世界とは違う。最初はあの薬を瀕死の儂に誰かが飲ませたのかと思ったが、多分違う。

 あの世界の大半は塩水が覆い尽くしている。儂がこの時間にあの速度で走り続ければ、必ず海が見えるはず。

 にも関わらず、海なんてものは一向に現れず、それどころか今だに森を抜けることができない。

 こんな広い森は普通ありえない。そしてその普通とは儂の世界の常識を指す。つまりありえないということは、異常ということ。これは儂の知っている世界とは違う世界。きっとあの時儂は死んで、そのあとここに送られたと考えるのが妥当か。

 もしかしたらここは地獄かもな。でも地獄なら大歓迎。もともと地獄みたいな環境で育ってきたんだ。鬼のを全員殺し、地獄の大王になるのも悪くないかもな。

 そんな妄想を膨らませ、村の中に入ると。


「ガァガァ」


 声が聞こえた。声を発しているのは小柄で肌が緑色の化け物。なんだこいつは……? どう見ても人間ではない。しかしこの世界で初めて見る生き物。

 こいつから少しでも情報を得たいところだが……。

 その化け物たちは、村の中に入ってきた俺の姿をみると一斉に笑い出した。

 何を話しているのか言語は理解できないが、侮辱されているということはわかる。

 なぜ儂が笑われているのかわからぬが、とりあえず。


「不愉快だ。殺す」


 儂は緑色の化け物に対し、戦闘体制を取る。























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