異世界聖戦
ラリックマ
第1話第二の生
憎い……。人間が憎い。
人間が嫌いだ。儂の力を頼りに幾つもの敵国をつぶし、最後まで儂のことを利用したくせに最後は徒党を組んで儂を殺したあの人間どもが憎い……。
儂に永遠の愛を誓っておきながら他の男に股を開いたあの女が憎い……。
そして……。
長年面倒を見てやったのにも関わらず、最後の最後で儂を裏切ったあの息子が……憎い!
こんなことなら、人間という種を絶滅するまで根絶やしにするべきだった。
あぁクソ……もうここまでか。
かつて英雄や悪魔と呼ばれた儂も、年には叶わないのか。
あの薬を手に入れていれば……儂の願いも叶っただろうに。
「グハァ……」
血反吐を吐き散らし、地面に這いつくばる。もう……ここまでか……。
次に生まれ変わったなら、どうか儂の悲願を叶えて欲しいものじゃ。それが叶えられるほどの力を持って……また……。
ゆっくりと閉じていく視界の隅に、最愛の息子を映しながら、儂は息を引き取った。
「っっっっっっっっは!?」
目が覚めるとそこは、森の中だった。状況が飲み込めなく、あたりをキョロキョロと見渡す。なんじゃここは? 儂は死んだはずではないのか?
倒れている体をゆっくりと起こすと、ある違和感に気づく。
「軽い……?」
体が軽いのだ。まるで全盛期の頃のような、あの何物にも負けない最強だった頃のような感覚。この全能感、儂には覚えがある。
儂は手のひらを見つめる。しわくちゃになった手の甲は、鎧のようにツヤツヤで、衰えていた筋力も元に戻っている。
なんだこれは……? 若返ったのか? もしかして件の薬を飲んだのか!?
だとしても、一体ここは……?
多くの疑問が残る中、儂はとりあえず闇雲に歩き出す。ここがどこだかしれないが、本当に感謝するぞ。
この儂に第二の生を与えてくれたこと。これであの
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