第14話 クロースの場合
寄り添う……を通り越し、もはや独占するかのようにその腕にギュッとしがみつく。
穏やかな川の風景を楽しみながら昼食を……という流れで、小皿に取り分けられた昼食を口にするクロースとクエイク。
さらに……
「あ~ん♡」
「あ、あの……一人で食べれるし……」
「あ~ん♡」
「……あ、あ~ん」
「はい、よくできました♡」
クエイクに自らの手で食事を口に運ぶクロース。
二人の世界が出来上がっていた。
「さ、次はクエイクが食べさせてください。あ~ん」
「あ、うん。それは任せて。はい!」
「あむっ、ん~、食べさせてもらうのって素敵です~……でも、何で私に食べさせることは躊躇わないのに、私から食べさせるのは遠慮するのですか?」
「え、あ、いや……俺は人に何かされるよりは、自分からしたい方で……」
「もぅ、私もクエイクに色々としてあげたいのです~♡」
イチャイチャベタベタと余暇を謳歌する二人。
先日、巨神兵を倒したこともあり、人類の軍も近くにいないということもあって、少しはしゃいでいるところもあった。
「あなたは私とお姉さまの、イイヒトなのですから。あなたから私たちにブルブルしてもらうのは嬉しいですが、してもらったブルブルの分も返したいのです」
「で、でも、俺は、人に何かをして喜んでもらうのが一番うれしくて……」
「またそういうことを……罰として、ペロペロします。ペロ♡」
「あぅ!?」
クエイクの頬をペロリと舐めるクロース。
純真無垢な表情から小悪魔のような笑みを浮かべてクエイクを戸惑わせる。
「ちゅっ、ぺろ、んちゅ、ちゅ」
「あ、う、あ……」
「ん、ジッとしてください。ちゅぷ♡」
そして、最初はただ一回舐めてからかうだけのつもりだったクロースだが、次第にクロース自身が我慢できなくなり、頬をもう一回、また一回と舐め、それはどんどんエスカレートして、舌先をクエイクの耳の穴に捻じ込んだり、耳たぶを口に含んだりと、止まることが無かった。
そして……
「あ、あの、そろそろ―――んぶっ!?」
「ちゅっぶ♡」
我慢できることも、我慢する気もなくなったクロースが、その小さく柔らかい唇をクエイクの唇に重ねた。
そしてその唇は重ねただけでは終わらず、クロースは一度付けた唇を決して離さずに、クエイクの口内を味わい続けた。
「はあぁ、んちゅぅぷ」
「ん、んぐ、ん……」
最初は戸惑っていたクエイクも、クロースに求められて望まれているなら応えたいと、気づけば二人は正面から抱き合って互いを求めあった。
それはチヴィーチのようにひたすら快感を与えるだけのバイブレーションキスなどとは違う。
クロースが求めているのは、快感よりも、クエイク自身。
それは何故か?
「すき♡ 私のクエイク……んちゅ、だいすき♡」
「……」
至極単純な理由。好きだからだ。
まだ出会ったばかりの二人。
その寂しそうで絶望的な瞳は、種族を超えて救いたいとクロースは思った。
そんな、クエイクは自身の命を身を挺して救ってくれた。
悲しみの中で振るったその力は、自分たちの天敵を葬り、そして力となってくれた。
その副作用で狂った中で、女の体を貪るように求めるクエイクに、クロースは最初は強張ったものの、何一つ嫌な想いは無かった。
むしろ、この男にもっと自分を抱いてほしいとすら思い、求めた。
細かく明確な理由など不要。
もう、クロースはクエイクを心の底から愛おしいと思ってしまったのだ。
「んちゅ」
「ん」
クエイクにはそんなクロースの「好き」、「愛している」という感情を正確に把握はできないが、それでも自分が求められていることは分かった。
自分の副作用に嫌な顔一つすることなく、快感や快楽を通り越して、機能としてだけでなく、「クエイク」という存在を求めてくれるクロースの望みは可能な限り叶えたいし、応えたい。
そう想いを抱いて、クエイクもクロースのキスに振動能力を使わずに応え続けた。
「ぷはっ、うふ、うふふ……クエイク♡」
キスだけで5分以上も求め合い、既に瞳も表情もトロトロに蕩け切ったクロース。
そして抱き合っていたクエイクの左手を自身の左胸に添えさせ、右手を自分のスカートの中へ誘う。
すると……
「あっ……」
「準備完了です。いいえ……クエイクに初めて食べられた日から、私はいつも準備万端なのです」
「クロース……」
スカートの中の下着に触れ、同時に全てを察したクエイク。
そして、クロースは優しくいやらしく微笑み……
「デザートです、あ~~~ん♡」
クエイクはそのデザートを時間をかけて美味しく戴いた。
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