第15話 システィアの場合


「さて、これからの戦略を練るうえで、あの小僧の能力を色々と把握せんとな」


 姫にして魔将でもあるシスティアはクエイクを探していた。


「クエイク様は先ほどチヴィーチさまの天幕に……あっ、でもこれは、その……」


 クエイクを引き入れたのはいいものの、戦力として期待するには、あの巨神兵を倒した力、そして制限、威力、他にも使い道がないかも含めて色々と確認したいと思っていたからだ。


「んぼぉ、おひ……あ、ひ……ひ♡」

「ぐっ、あ、姉上……」


 チヴィーチの天幕を開けたら、ベッドの上でチヴィーチがブルブルと痙攣しながら全裸でうつ伏せになっていた。

 汗と生臭い匂いと、モワッとするほどの熱気は、先ほどまでここで激しい戦いが繰り広げられていたということを容易に想像できる。


「えへ、でへへへ、うへへへへ♡」


 壊れたように涎を垂らしながら、笑うチヴィーチに、ゾッとして引いてしまうと同時に、システィアは体が火照って下腹部がモゾモゾしてしまう感覚に襲われた。


「こ、これは……っ」


 自分の指が自然と下半身の黒ビキニに伸びそうになるのを唇を噛みしめて必死に堪えながら、システィアは激高する。


「ぐっ、何たるふしだらな……たるんでいる! 姉上は長女としての自覚が足りん! 戦場で男との交わりに現を抜かし……」

「んぉ? おぉ……んぐっ……システィア~、どうしたのだ?」

「どうしたもこうしたもない! わらわはあの小僧を探して……ここに居ると聞いてきてみれば……」

「すまんのだ……しかし、ウヌも旦那様にブルブルしてもらえれば、わ、分かるのだ♡」

「結構だ! わらわが、そんなふしだらな振動攻撃などに溺れるなど決してありえぬ! で、あの小僧はどこだ!」


 醜態を晒しても一切取り繕うこともない姉に呆れを通り越してしまうシスティアは、もう姉は放っておいてクエイクを探そうとする。

 すると……


「おぉ、旦那様なら……クロースが連れて行ったのだぁ、メシだとか、川でとか……」

「ちっ、今度はクー姉上か……二人そろってたるんでいる!」


 ここにクエイクが居ないことが分かり、システィアは舌打ちしながら天幕から出ていこうとする。

 だが、そのとき……


「の~、システィア」

「……何だ?」

「うぬは……自分で思っている以上に……ドスケベなのだ」

「ッ!? な、なにを!」

「ぐふふ……儂とクロースが旦那様と初夜ってるところを覗いていたのも……その後部屋で自分を慰めていたことも知っているのだ♡」

「ッ!?」

「今もアソコから雌の匂いをモワッとさせてホカホカ――――」

「ななな、なにを言う! わらわを誰だと思っている! 姉上のようなドスケベ変態ビーストや、クー姉上のような恋に溺れる者とも違う! 誇り高き魔族の王の血を引く―――」

「うぬも、旦那様のブルブルに抱かれるといいのだ」

「な……に?」

「そうすれば、その固い理性も粉々に砕け……女に生まれた悦びを得られる……ウヌもそれぐらいの方が人生楽しくなるのだ」


 足腰立たなくなるほどの状態でうつぶせになりながら、いやらしくゾッとする笑みをシスティアに向けるチヴィーチ。

 本来ならそこで


――虫唾が走る


 と、冷たく吐き捨てるところではあるが、この時だけはそれができずにゴクリと唾を飲み干した。


「ふん。ありえぬ……わらわに限って……」


 ギリギリそれだけしか言うことができず、天幕を後にするシスティア。

 同時に彼女は頭の中で、初めて目にした二人の姉と男が交わる情景を思い出し、体がまた熱くなった。


「いやだ。あんなのに抱かれると……自分が壊れてしまう……わらわにはできぬ」


 あの姉たちのように自分もああやって性に溺れて人目もはばからずに淫らな痴態を晒してしまう……それが怖くて……だがそれでも体の疼きが抑えきれず、システィアは……


「ちゅる、ちゅぷ、じゅぷ♡」


―――ッ!!??


「あっ、く、クロース、いいよそんな……俺が奉仕……」

「ダメです。私もクエイクのスーパービンビンマウンテンさんに奉仕したいのです♡」


 そのとき、水音がぴちゃぴちゃと響かせて貪り合う、陰と陽、対極、上下逆……ウロボロスが居た。


「それに、まだまだおかわりを食べてもらいたいのです。まだ、5杯ですよ?」

「う、うん……もっと食べるよ」


――――ブルルルルルルルルルル♡♡♡


 そして響き渡る振動に、クロースは雌の顔でよがり狂う。

 その姿に、システィアは怒りが込み上げてきた。


「あ、あぅ、またあんな……なんという……」


 だが、それでも二人の間に割って入ることができず……


「クー姉上……なんて幸せそうな……5杯も既に……はあ、はあ……うぅ」


 ただ、木陰で一人覗き見しながら自分自身を慰めるしかなかった。

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