あなた好みのステータスを

「何のために?」

「教えなーい」

「わかった。まあいいや。異世界転生さえできれば」

人公じんこうはなんで異世界転生したいの」

「流行ってるから」

「あんたバカ?」

「そりゃあ見る人次第だよ」

「何その無責任発言。あんたには主体性ってものがないの?」

 主人公はニヤニヤした。

 菊坂は主人公を睨んだ。


「声の人! 出ておいで!」

 菊坂が右手を腰に当て、左手を振りかざすと、主人公の目の前に突然スーツ姿の眼鏡男が現れた。

「ステータスはどんなのがいいですか?」

 男は言った。

「さあ!さあ!!さあ!!! 言ってごらんなさいよ。あなた好みのステータスを!」

 菊坂は主人公を指差して言った。

「最強をくれ!俺に力を!! 全てを統べる力を!」

「力が欲しいか」

「欲しい!」

「ならばくれてやる」


 空間が震えるほどの叫び声をあげると、主人公の身体は膨れ上がった。

 両腕を天に突き出し叫び続ける主人公。

 空間に亀裂が走った。

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