隣の席の美少女が何故か憐れむような目でこちらを見ているけど、僕には関係がないのでとりあえず寝る ―――ひとりが好きなぼっちだっているんですよ?―――
第180話 有効期限の切れたクーポンは大人しく捨てるべし
第180話 有効期限の切れたクーポンは大人しく捨てるべし
『投票で最も人気だったのは……2年A組、メイド喫茶です!』
文化祭終了後、片付けを終えた頃に行われた集計結果の発表を聞いて、
それに合わせてクラスメイトたちも立ち上がり、一斉に歓声を上げた。
「「「「「やったぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」
湧き上がる教室、その隅で
その上、一日中夕奈の面倒を見たこともあって、疲れが溜まっているのも仕方がない。
しかし、そんな彼は突然全員から視線を浴びることになる。なぜなら―――――――――――。
『そんなA組のメイドさんの中で最も注目を集めたのは、
発表役の放送委員がそんな声を上げたから。
もう少しで夢の世界へのトワイライ〇エクスプレスが発車するところだったというのに、無賃乗車だと言われて無理矢理下ろされてしまった。
『小田原さんには後日、生徒会からメイドにちなんだ物が送られるそうです。良かったですね♪』
「……まったくもって良くないよ」
「唯斗君、よかったね!」
「ちっ」
「ちょいちょい、放送委員にも舌打ちしなよ!」
「見ず知らずの人に舌打ちは良くないし」
「友達にするのも悪いよね?!」
「夕奈は友達じゃないからセーフ」
「なるほど、つまり恋びt……」
「不審者」
「知り合いですらないの?!」
そんな2人の会話にクラスメイトたちが笑い、文化祭のプログラムの全てが終了する形となった。
みんなが「楽しかったな」「そうだね」と話しながら帰りゆく中、満足げにカバンを肩に掛けた夕奈はとあることを思い出して「あっ」と声を漏らす。
「……ポテト、買うの忘れてた」
その場に崩れ落ちる彼女に、唯斗は以前
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落ち込む夕奈を
「……はぁ」
ただ、ため息をつくほど気がかりなことがひとつある。ハハーンが『たくさん買ったからお友達を連れてきなさい』と言うのだ。
瑞希や
ただ、誰も連れてこなかった場合は『一人だけオムライスにする』と脅されているし、かと言って他を誘って夕奈だけ誘わないというのも無理だ。
「ん? どしたの、唯斗君」
「えっと、実は――――――――――」
仕方なく全員にお誘いだけはして、それでも無理ならハハーンに土下座でもしてフォンデュにありつこうと心を決める。
そこまでは計画として問題はなかったのだが、彼は校門を出た瞬間に声をかけられたことでスッと言葉を引っ込めてしまった。
「す、すみません!」
「……あれ、君は確か……?」
空が暗くなってきていて見えづらいが、それでもこのサングラスと帽子には見覚えがある。
それは花音も同じようで、「あっ、お店の前でウロウロしてた人です!」と声を上げた。
「唯斗さん、ですよね? 先程お会いした時はメイド服だったので……」
「もしかして、ここで僕を待ってたの?」
「はい! 私、お話したいことがあるんです」
彼女はそう言うと、帽子とサングラスを外して再度唯斗の顔を見上げる。
その顔を認識した瞬間、唯斗は彼女と話していた時の『初めて会った感じがしない』違和感の正体に気がついた。
それはそのはずだ、顔は見えなくても声は3年前と少しも変わっていない。頭のどこかでは分かっていたのだ。
「……覚えていますか、私のこと」
――――――――彼女が『ハルちゃん』だって。
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