第3話 彼女が作った廃村の地図
まだ彼女の家という廃墟の中にいるボク。彼女は無言、ボクは恐る恐る窓から外の様子を見る。あの異形らしき人たちは今のところはいないようだ。けれども、恐らくここを出ればまた追ってくるだろう。どうしたらよいのだろう。
すると彼女は無言でちょっと大きな紙を渡してくる。なんだろう? よく見てみると、手書きの地図のようだ。えーと、今はどこだろう?
「いい? 今は私たちはここにいるの」そう言った彼女は地図のバツ印を指さした。
なるほど。だが、地図の端は緑色である。つまり、ここは森で囲まれた廃村のようだ。それにしても、先ほどかなり走ってきたつもりだが、地図で見るとまだ廃村の中心部にいるようだ。なんだろう? この十字架の印は? 聞いてみる。
「ああ、この十字架の印? その大きな廃病院にも十字架があるのよ」彼女は笑顔で説明をしてくれる。
「ちょっといいか、この十字架はいったいなんなんだ?」ボクは当たり前に聞いたつもりだった。
しかし、彼女は何も説明しない。えーと、きっとわからないのだろう。さて、ボクはいつまでここにいないといけないのだろう。そもそも、この廃村の外の森よりも更に外の方はどうなっているのだろう? ボクはそれを聞いた。
「あ、森は異形の人よりも、もっと凶暴な魔物がいるの、だから脱出は出来ないよ?」彼女が真面目な表情でそう言った。
つまり、助けを待っても仕方ないのかな? それにしても、いろんなことが謎である。えーと、地図の十字架の印はあちこちにある。
ちょっと考えていたら、どこからか優しい歌声が。
「さあ 外へ出よう。新しい世界へ」
ボクはこの歌声のことを彼女に聞いてみる。
「え? 大丈夫なの?」
「え? ボクは聞こえているけど?」
「えーと、私は全くそんなの聞こえないよ?」
続く
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