第4話 【航side】

「凪咲、もう寝てんのか。笑笑」

「…今日は無理してたみたいだから仕方ないだろ。」


お昼ご飯を食べ終わった時、右肩に重みを感じた。凪咲が寝たようだ。すやすやと寝息をたてながら寝ている。本当に無理しやすい性格は変わらないようだ。


「この距離感で付き合ってないとかほんと考えられんわ。」

「だよねー。そこはどう思ってるの?航。」


葉月や荒瀬にそう言われる。


「え?あーどうだろうね。笑」

「出たよー、航の意味深発言。

すごい気になるじゃんかー。」


いろいろな人からそう言われ、慣れているはずなのだが、少し胸が痛む。

俺と凪咲は、幼馴染で幼い頃から色々なことで競いながらお互いを助け合ってきた。

いつも俺が勝負で勝つと、すごく悔しそうな反応をする凪咲を見て、俺は笑っていた。

でもその次の時には、凪咲に負けて悔しそうにするといつも

「これでおあいこね!頑張ってよかったー!」

と笑いながら言う凪咲を見ているうちにどんどん心苦しくなった。

そしていつしか気づいた。

でも仲の良いグループでギクシャクさせたくなかったから、黙っているが。


…本当は凪咲のことが好きだからだ。


そんなことを考えていたら、中庭にチャイムが鳴り響く。


「うわ、やっべ…

おい、早く教室行くぞ!!」

「航、凪咲起こして!早く!」


「凪咲、起きろ。授業に遅れる。」

「んん…」


「ああもう、航、コイツ走れなそうだからおんぶして運んでけ!」

「はいはい。」


そう言って寝起きでふわふわしている凪咲をおんぶして教室まで急いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る