第15話 ソウダン

 零菜と次に会うのは来週となった僕は零菜が喜ぶことを考えた。しかし、残念なことに僕は女心というもの未だに良く理解していない。しばらく考えてみたがいい案は出てこなかったので僕は信頼できる女友達にでも聞くことにした。

 午前中のうちに連絡を入れて置き大学から帰ってきた僕はさっそく電話を掛けた。

「もしもしー」

「あら、悠ちゃん久しぶりー。どうしたのー?」

 電話の相手はまいさんだ。高校からの友達で僕の良き相談相手の一人だ。

「ちょっと相談したいことがあってさ、女の子ってどうしたら喜んでくれるかなって」

「悠ちゃんからそんな相談が来るとは思ってなかったわー。詳しく教えてー」


 僕は三十分ほどかけて零菜とのことを話した。

「そっかそっかー。そうだなー。やっぱりプレゼントかなー?」

「プレゼントですか」

「うんー。入浴剤とかいいんじゃない?」

「零菜は今お風呂入れてないみたいだから」

「そっかー。悠ちゃん的に零菜ちゃんはどんなものが好きそうなのー?」

「オレンジ色が好きなのは分かってるんだけどね。後は占いとかそういうのガッツリ信じてる感じ」

「なるほどー。じゃあハーバリウムとかいいかもねー」

「はーば……りうむ?」

 聞いたことのない単語に僕は固まった。

「簡単に言うとお花をね、ガラスの可愛い小瓶にオイルで漬けたもので、手入れとかしないで綺麗なお花を見ることができるのー。占いとか好きなら花言葉とかも知ってそうだからー」

「手入れとかいらないのはすげーよさそう! マジサンキュ!」

「どこに売ってるか知ってるー?」

「分からん!」

「今度時間ある時、案内してあげるよー。悠ちゃん花言葉とか何も知らなそうだし」

「そこらへんはちゃんと調べるよ」

 零菜を喜ばせる方法は見つかった。次に僕がやることは? 知っている零菜の友達に一人ずつ連絡を取ってみるか? それとも――

「ねぇ、悠ちゃん」

「ん?」

 舞さんは声のトーンを先ほどより少し下げて話し始めた。

「なんでもかんでも一人でやろうとしちゃだめだよ?」

「うん。大丈夫」

「あとね、もし、もしもだよ? 零菜ちゃんがさ死にたいって本気で思ってたら悠ちゃんはどうするの?」

「そうだなー。抱きしめて話聞いて、それでも変わらなかったら」

「変わらなったら?」

「一緒に死のう。一人にさせないって言うよ」

「……そっか。そこまで想ってるんだね」

「零菜は寂しがりやだからな」

「分かったよー。答えてくれてありがとねー。悠ちゃんも無理しないで何かあったらちゃんと相談してねー」

「うん。まじ、サンキューな」


 一緒に死のう。一人にはさせない。

 本気で思ってるけど零菜にはすごい怒られそうだなって思った。




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