第5話 集まった七人

 雰囲気はほぼ女子会になっていて、時間が経つにつれ僕が話をしなくても四人で盛り上がるようになっていた。

 桃花と舞も来た時より打ち解けているように見えて僕は一安心した。

 一杯目の酒(僕はジュースだけど)を飲み終わり四人は次に何を飲むかメニューを見ながらワイワイし始めた頃だった。

 金髪の小柄な男と長身のくすんだグレーっぽい色の髪をした男が二人で僕達のいる席を店員に指さし近づいてきた。

「ゆーとちゃん!」

「俊、こーたろー、おひっさー」

 二人とは半年ぶりに会うがあまり変わったようには見えなかった。

「なんか可愛い子いっぱいいるね」

「合コンじゃねーからな。とりま座れよ」

 朱里に少し詰めてもらい、こーたろーと俊の座る場所を作る。少し狭いかもしれないが問題は無さそうだ。

「結構盛り上がってたように見えたけど、今どんな会話してんの?」

 こーたろーが上着を脱ぎながら聞いてきた。

「ほぼ女子会」

「あら、じゃあ私も混ざろうかしら」

 俊が気持ちの悪い裏声でそのような事を言うが、桃花は相変わらずだねという反応を見せる。

「じゃあ自己紹介しようかしら。雛河俊ひなかわしゅんって言います。誕生日は三月三十一日。ピチピチの二十二歳です」

 俊はまだ裏声を続けている。

「今日は、男一人はゲットしたいなって思ってまーす」

「彼女に言いつけるか」

「雛河俊。切実さが僕の全てです」

 俊は急に低い男の声を出した。俊の彼女は大学の頃から付き合っている女性で僕も知っている。立場的には俊が尻に敷かれている。

「じゃあ次俺ね。茂野光太郎しげのこうたろうです。よろしゃーす? 何かあっこの女子警戒してる?」

 こーたろーが不思議そうに苺をの方を見ながら僕に聞いてきた。

「ああ、そっか。苺はイケイケ系男子が苦手だから。金髪だからヤンキーだと思ってんだと思う」

「……そうなの?」

 苺が舞の腕を掴みながら確認してくる。

「私も大学一緒だから少し知ってるけど、そんな危ない人じゃないよ」

「……よろしく」

 桃花がフォローを入れてくれたおかげで、苺は舞の腕を離した。まだ警戒心は残っているだろうがヤンキーではないということは伝わったらしい。

 次に僕は桃花、舞、苺の事を紹介して、今日集まった理由も話した。

「そんで最後が朱里。電話途中で変わったのがコイツ」

「イェイ」

 普段の人見知りはアルコールの力でどっかに行ったらしい。

 その後はみんな新しくお酒を頼んだ。ちなみに僕はコーラだ。それと各々食べたい物も頼んだ。

「それでは私の傷心の癒しを願って!」

「あ、そんなんあったな」

「かんぱぁぁあい!!」

 朱里の合図で飲み物の入った器を軽くぶつけ合った。中の氷同士がぶつかり、カランと夏を感じさせるような音色を出した。

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