第4話 決められた話題
「くわぁぁあー! 染みるぅー!」
朱里が口を手で拭いながらビールを半分ほど飲み声を上げる。
「ゆうちゃん達は今日はどういう集まりなのーー?」
「朱里の彼氏が相手してくれないのだとさ」
「それで代わりにゆうちゃんが相手してるのねー」
「ほっといたら酔いつぶれるしな」
まだケラケラと笑いながらビールを飲んでいる朱里を横目に見ていると、僕のスマホに電話がかかってきた。
相手は大学時代の友達だった。
「もしもし? 俊?」
「ゆーとちゃん今暇?光太郎ちゃんと今いるんだけどさ、これから飲まね?」
「わりー今幼馴染と飲んでっから――」
断ろうとした時、再び朱里にスマホを取られた。
「全然暇だよ! お店は空白ね!! よろしく!」
朱里はその後勢いよく人差し指を動かし電話を切ってしまった。
「朱里……」
「だって、いっぱいいた方楽しいじゃん」
「電話の相手は誰だったのー?」
「俺の大学の頃の友達の俊と光太郎。今LINEで謝っといたけど一応来るらしい」
それを聞き朱里はガッツポーズをする。
「桃花は知ってる二人だけどさ、舞と苺には迷惑だよな? そもそも今日は桃花と舞の親睦会だろ?」
「私は大丈夫だよ」
「ワシは元々舞ちゃんさんのオマケだから気にしてないよ」
「私も別に大丈夫かなー。元から二人だと話せないと思ったから苺ちゃんに付いて来てもらってるし」
「そう言って貰えると助かるわ」
今回は三人がこういう反応で助かったが朱里には困ったものだ。相手が友達だから良かったが仕事の上司とかだったらとんでもないことになっていた。
「とりあえずあいつら来るまで時間あるし、まずは桃花と舞だな。何か共通の話題とかないの?」
せめてもの償いのつもりで二人に話を振る。
しかし、思ったよりも早く二人の共通の話題は見つかった。
「ゆうちゃん」
「あ、同じ事思ってた」
「それならワシも話せる」
「幼馴染に勝てるかな!」
そりゃそうだった。ここに集まってる人みんな僕の友達なのだから。
「え、俺の事話すの?」
「ねぇねぇ、大学のゆうちゃんってどんな感じだったの?」
「えーっとねぇ、最初は――」
桃花が語りだし、もう話題は変わりそうになかった。僕はただ、俊と光太郎が早く到着することを願うだけだった。
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