7
……人間のせい?
……人間が、地球を滅ぼすの?
……他の生き物をまで、道連れにして。
同じ人間として、圭太は、責任を感じた。
勇気を出して、聞いて見た。
「なにか僕にできること、あるかな」
「うっしっし」
白蛇が不気味に笑った。
「ようやく、私の言いたいことが、わかりましたね? あります。あなた方は、恐竜に仕えるのです。それが、竜王のご意志なのです」
「竜王!?」
圭太とお姉ちゃんは、顔を見合わせた。
「竜の、王……」
「龍王というのは、あらゆる恐竜の祖、偉大なる永遠の覇者。あなた方の言葉でいうと、神のようなもんでしょうなあ」
「はあ……」
わかったような、わからないような。
「神様なんているの?」
と、お姉ちゃん。
「ぐげぇ」
白蛇が変な声を出した。
「なんて、バチ当たりな!」
「よく言われるわ」
お姉ちゃんは、けろりとしている。
反対に、白蛇は、げんなりした。
「とにかく、あなた方は、偉大なる竜王に選ばれた人間です。”スーパーおろち”は、竜王が開発したタイムマシンですからね」
「すごい。この電車は、タイムマシンなんだね!」
圭太は、わくわくが抑えられない。
急に不安になった。
「なぜ、僕たちなの?」
運動神経が鈍くて、いつも仲間はずれで、親や、先生さえ、持て余している、この自分……。
そんな自分を、竜王は選んだというのか。
憤然と、白蛇が答えた。
「こっちが聞きたいくらいですよ! 私も、直接竜王から命令を下されたわけじゃないんで。スーパーおろちのコンピューターがプリントアウトしたんですよ、あなた方の乗車切符と、宛て名のついた封筒をね!」
それが、圭太の元に届けられた、あの、手紙……。
恐らく、この、お姉ちゃんの所にも、同じものが届けられたのだろう。
「わあー、私たち、選ばれた人ってわけねーっ。さすが竜王! わかってるぅー」
おねえちゃんは大喜びだ。
「ほら、あんたも喜びなさいよ」
「えっ、でも……」
その、竜王という人(?)を、失望させることになるのではないか。
圭太は心配だった。
「とりあえず、選ばれたんだから!」
「そ、そだね……」
お姉ちゃんの能天気に、圭太も、ちょっとだけ、影響されてみる。
心が軽くなった気がした。
だって、
恐竜。
電車。
タイムマシン。
浮かれない方が無理だ。
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