第5話 前向きな喧嘩はどんどんするぞ

「おはようございます奈帆さん」


おはようございます美玲さん ところで、それはお弁当?


「はい、昨夜は母特製手ごねハンバーグで、今日のお弁当用に

特別に作ってくれたのです、私が最近元気がないからって」


へー、手ごね…

………ん?そういえば、偶然ですが、姉が作ったのを今朝見ました


「お姉様?女子力高そうですよねー!」


いやいや、昨夜すごくお酒飲んで悪酔いして帰ってきたのです

で、今朝お姉ちゃんが呼ぶ声がしたので部屋へ行ってみると

まだベッドで寝ながらポンコツ顔でこっちを見る姉の手には…

いい感じで丸められたハンバーグ《寝ゲロ》が…


「ジーザス」


無邪気な声で『これ《ゲロ》なんだろ?』と言うから、

思わず『可愛いな〜』と呟いてしまったわけで、笑


「あゝお昼時にはそのエピソードを忘れるといいのですが」


大丈夫ですよ!だって今日は待ちに待った、あの日ですよ?


「そうでした!キラちゃん側のリークで今日の体育で

ミッチを挑発してみるということでしたね?」


えぇ、なんやかやでキラちゃんはそれなりに魅力を放出するけど

無反応なミッチにやや本気出そうとしているようです!

アテクシは2日前に見学届けを出してあるので、美玲さん忘れずにね?


「わかりました、2時限終わりにでも保健室経由で出しましょう!

男女混合バスケット、なんて刺激的な体育授業イベントなの!」


あ、ミッチが来ましたよ!


「おっと、黙りますね!」


話題を少し変えますよ、アテクシの件ですが

酔っ払いの姉は普段は持っていないスペックが発動するのです

それは本人も知らないことなので、本当の心の声と言ってもいいでしょう

昨夜、アテクシと彼が相変わらず電話で言い争いしていて、

姉はその声に引き寄せられて来たみたいで

『いいぞ!前向きな喧嘩ならドンドンやんなよ!そういうのはね

…あとでわかるぞ、とっても幸せな時間を共有できていたって」

そう言いながら、笑って泣きながら部屋へ戻って行ったのです

もちろん、彼にも聞こえてて、なんとなく喧嘩が終わりました。


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