第235話 お泊まり会(4)!!
皆で過ごしている中、時計を見てみると、結構良い時間になっていた。
「そろそろ寝ようか。客室と私の部屋で分かれて貰う事になるけど、どう分かれる?」
「グッパー!」
その結果、私と大空と美玲、日向と舞歌という組み合わせになった。皆で歯を磨いてから二階に上がる。
「それじゃあ、日向と舞歌は客室使って。私達は、私の部屋で寝るから」
「うん」
「それじゃあ、おやすみ」
「うん。おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
「おやすみ」
私達は、決めた組み合わせに分かれて、部屋に入っていく。
「へぇ~、ここが朔夜の部屋か。結構さっぱりしてる」
「どんな部屋を想像してたんだか」
「もっと物が散乱しているんじゃないかって思ってた」
「残念。日向が泊まりに来ることもあるから、基本的に綺麗にはしてるよ」
予想と違った部屋だからか、大空は少し驚いていた。美玲の方は、色々と見て回っている。
「何かあった?」
「ううん。勉強机も綺麗だなって」
「まぁ、この前のテスト勉強で使った後、掃除したしね」
「ふぅん。そうなんだ」
そう言って、美玲は机の上に何かないか見ていた。そこで、私は両手を叩いて、二人の意識を集中させる。
「はいはい。探索していないで、早く寝ちゃおう」
二人をベッドに押し込んでいく。そして、すぐに電気を消す。
「はい。おやすみ」
「おやすみ」
「うん。おやすみ」
私を真ん中にして、三人並んで眠る。さすがに、三人は狭いのでぎゅうぎゅう詰めになっている。でも、弱い冷房を掛けているから、ちょうど良いと言えばちょうど良いかもしれない。
ただ、大空は普通に寝ているのだけど、いつの間にか美玲に腕を取られていた。余計に暑いけど、そうしないと落ちてしまうのかもしれないので、そのまま眠った。
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客室に入った日向は、周囲を見回す。
「ここも変わらないなぁ」
「そうなんですか?」
「うん。私のために用意されたみたいなんだけど、私がさくちゃんと寝るって我が儘言って、あまり使われなかったらしいんだ。今思うと、申し訳なさで一杯だよ」
「小さい頃の話ですから、仕方ないところもあるのでは?」
「そうなんだけどね」
そう言いながら、日向はベッドに入っていく。
「ほら、舞歌ちゃんもおいでよ」
薄い掛け布団を、少し持ち上げながら日向がそう言う。その姿に、舞歌は少しだけ顔を赤くしながら、ベッドに近づいていく。電気を点けていなかった事で、日向には気付かれていなかった。
「お、お邪魔します」
「いらっしゃい」
日向は、にこにこと笑いながら舞歌を迎え入れる。朔夜達と違い、二人だけなので、ベッドに余裕があるのだが、日向は舞歌にくっついていた。
「ねぇねぇ、お風呂でさくちゃんと何を話してたの?」
「えっ、聞いていたのではないんですか?」
「ううん。宿題がどうたらこうたらしか聞いてないよ」
日向が盗み聞きしにきた時は、ちょうど二人が湯船に浸かって、宿題について話していた時なので、それ以前の話は聞いていないのだ。
「そうだったんですか。えっと、今度アップデートがくるという話と将来の夢について話していました」
「将来の夢?」
「はい。何とか、朔夜さんもアイドルに出来ないかと思いまして」
「さくちゃんがアイドルか……絶対可愛い!」
「私もそう思いました。ですが、朔夜さんの意志は硬いので、また誘うことにしました」
「あ、諦めるんじゃないんだ」
これには、日向も苦笑いをしていた。
「でも、舞歌ちゃんもぐいぐいといくようになったよね」
「そうですか? もし変わったのだとしたら、それは日向さんのおかげだと思います」
「私じゃないよ。舞歌ちゃんが変わろうとしたからだよ」
「そのきっかけは、日向さんですよ」
互いに互いのおかげと言い合って、どちらも一切譲らなかったので、二人はどちらから共無く笑い合った。
「それじゃあ、そろそろ寝ようか」
「そうですね」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
日向は、舞歌にくっついたまま目を閉じた。その状態に、舞歌は目をパチパチと瞬かせる。
(このまま寝るのでしょうか? 少し落ちそうな気もしますが、私はそこまで寝相が悪い方ではありませんし、日向さんが落ちないようにしましょう)
舞歌は、掛け布団を日向の肩まで掛けて、一緒に眠りについた。
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翌日の朝。いつもよりも少し早く起きた私は、自分の右腕に柔らかい感触がして、そっちを向くと、寝ている美玲の顔があった。一瞬、何で美玲がって思ったけど、すぐにお泊まり会の事を思い出して、納得した。
何とか私にくっついている美玲と、反対側にいる大空を起こさない様にベッドから抜け出し、部屋を出て行く。
「ふぁ~……二人は、ちゃんと寝られたかな?」
客室を開けて、中をちらっと見てみると、二人が寄り添って寝ているのが見えた。せっかく広く使えるというのに。いつの間にか、あんなに仲良しになっているとはね。仲が良いのは良いことだ。
二人を起こさないように、静かに扉を閉めて、洗面所で歯を磨いて顔を洗う。そして皆の分の朝ご飯を用意していると、皆が続々と起きてきた。
「おはよう。ご飯出来ているよ」
「うん。ありがとう。さくちゃん」
皆は、それぞれ昨日のお昼と同じように座って朝ご飯を食べていく。朝ご飯を食べて、少し食後の休憩をしてから、皆が家に帰る時間になる。
私は、皆を駅まで送る。日向は駅と逆方向だから、別に一緒に来る必要はないんだけど、一緒に皆を送ると言って付いてきた。
「それじゃあ、またお昼にね」
そう言って、皆を見送った後に、日向と一緒に帰路につく。
「それにしても、今日は、森の中を調べるんだっけ?」
「そのつもり。ざっと見て回るつもりだから、月読とプティを使うけど」
「じっくり調べるんじゃないんだ?」
世界樹やそこに到るまでの道は、ゆっくりと見ておきたかったから、ゆっくり歩いて調べた。日向は、今回の森も同じように調べると思っていたみたい
「うん。森は広いからね。ちゃんと全部調べられるか分からないし、素早く黒江とかの視力に任せて調べるつもり」
「そうなんだ。まぁ、あんな石碑に残すくらいだし、入口くらい分かりやすくしているよね」
「まぁ、そうだとは限らないけど。森に何もなかったら、ウロボロスに訊くのもありかもね」
「あははは、今度こそ倒されちゃうよ?」
「もしかしたら、ウロボロスが色々と教えてくれるかもよ」
「そんな馬鹿な」
そんな風に笑い合いながら家に戻り、いつも通りの家事を終わらせて、お昼を食べておく。さっきまで賑やかだったから、少し寂しいけど、すぐにいつも通り賑やかな場所に行けるので、すぐに気にならなくなった。
家事もお昼も済ませたので、ちょっと早いけど、ユートピア・ワールドにログインする。
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