第71話 王都周辺の森!!
高校生活が始まった。部活には入らないから、中学の時と全く変わらない生活になるけどね。
そして、今日も今日とてユートピア・ワールドにログインした。
「さてと、今日も外で戦おう。この時間だと、シャルもシルヴィアさんも迷惑だろうし」
今の時間帯は夜なので、王城に入るわけにもいかない。まぁ、入っても怒られないとは思うけど。
私は、王都を駆け抜けて、南側から街の外に向かう。王都の外は、街道が通っていて、その周辺は木々が切られ、開けている。でも、少し離れた場所は森のようになっていた。
最近は、ここら辺の森の中でスキル上げに励んでいる。その成果は、結構大きい。
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ルナ[暗殺者]:『銃術Lv45(ユ)』『銃弾精製Lv48(ユ)』『リロード術LV40(ユ)』『体術Lv36』『投擲Lv10』『暗視Lv32』『潜伏Lv45』『消音Lv39』『消臭Lv8』『聞き耳Lv39』『速度上昇Lv39』『防御上昇Lv30』『器用さ上昇Lv33』『防御術Lv37』『回避術Lv40』『軽業Lv47』『急所攻撃Lv45』『防御貫通Lv22』『集中Lv48』『気配感知Lv20』『弱点察知Lv28』『潜水Lv11』『泳ぎLv11』『登山Lv30』『痛覚耐性Lv31』『気絶耐性Lv9』『言語学LV34』
EXスキル:『解体術Lv35』『採掘Lv15』『古代言語学(海洋言語)Lv19』
職業控え:[冒険者][狩人]
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一番の驚きは、職業が増えた事。新たに増えた暗殺者の効果は、認識阻害、消音、潜伏の常時発動、不意打ち、暗視、聞き耳、認識阻害の効果が上昇だ。他にも、黒影を投げていたら、投擲のスキルが手に入ったり、職業が増えた事で消臭のスキルも得ることが出来た。ボーナスは貰えなかったから、もう既に、誰かが持っているんだと思う。
「さてと、今日は、どれくらい倒せるかな……」
私は森の中に入り、いつも通り木の上へと登った。そして、気配感知が反応した場所に向かう。スキルと職業の相乗効果で、音が全くしない。それに、防具の効果も合わさって、敵から発見されることが減った。
(本当に暗殺者みたいになっているなぁ。私の戦闘スタイルに合っているから、嬉しいけどね)
そうこうしているうちに、モンスターがいる場所まで辿りついた。私の下には、黒い狼が群れで寝ていた。名前は見た目通り、ブッラクウルフという。全部で十匹いた。
(さてと、今回は気付かれずに倒せるかな……)
黒闇天にサプレッサーを取り付けて、ブラックウルフの頭に銃弾を撃ち込む。撃ち込む弾は、普通の銃弾だ。不意打ち、弱点攻撃の相乗効果で、一撃で倒れていった。これで、一匹を倒せた。他のブラックウルフは、仲間が倒された事にまだ気が付いていない。
「じゃあ、これの練習だ。銃技『複数射撃』」
銃術のレベルが上がったことによって、新たに得た技である複数射撃は、複数の敵を同時に狙って撃つという技だ。まだ、技が使える様になってから浅いから、狙いが少しばかりズレてしまうことがある。今も、七匹までは、頭に命中させることが出来たが、残りの二匹は、身体に命中した。
「やっぱり、難しいな。まだ練習した方が良さそうだね」
生き残ったブラックウルフは、私を探してあちこち見回している。でも、装備とスキル、職業による様々な相乗効果で、姿や気配が希薄になっている私はそう簡単に見付からない。落ち着いてリロードをし、それぞれの頭を撃ち抜く。
「大分倒しやすくなったなぁ。最初来た時は、本当に危なかったもん」
私が最初に、ここら辺のモンスターと戦ったときは、危うく死ぬところだった。その原因となったモンスターは、このブラックウルフではない。
「!!」
気配感知に反応があった。私は、急いで木々に隠れる。草むらから現れたのは、黒い体毛をしているライオンだ。名前を、黒獅子というみたい。今まで英語系の名前が多かったのに、ここにきて和風な名前だ。
森の中に何故ライオンがと思わなくもなかったけど、そんな事を気にしていられないくらいに強い。普通の銃弾だと太刀打ち出来なかった。魔法弾で何とか倒す事が出来たけど、本当に死にかけた。
「倒すのにコストが高すぎるんだよね。結構作れるようになったとはいえ、普通の弾よりも消費魔力が多すぎるんだもん」
そう言いつつも、マガジンを魔法弾に入れ替える。ここで倒さないと、厄介なことになるかもしれないからだ。入れ替えた弾は、氷結弾。爆破弾だと、環境破壊にしかならないから、やめておいた。
「銃技『一斉射撃』」
リロードで装填した弾は、全部で六発。それを全て、黒獅子に当てる。黒獅子の身体が完全に凍り付く。黒獅子は、命を削られ、やがて死に絶えた。
「一匹だけだよね……」
気配感知には、何も反応しないので、得にいないっぽい。
「大分倒せるようになったけど、結構強いなぁ。やっぱり、一気に進みすぎって事なのかな?」
王都周辺のモンスターは、今までのフィールドと比べものにならないほど強い。雑魚モンスターの一角であるはずの黒獅子で、こんな強さなんだからね。私はリリさんとミリアとの友好があったので、王都まで楽に来られた。だから、自分の強さが、フィールドモンスターの強さに追いついていないかもしれない。弾の消費量が今までで一番激しいかも。
休憩出来るポイントで、いくつかマガジンを生成しておく。ここには、ソード・モンキーのような木々の上に陣取るモンスターがいないので、基本的に上にいれば、見付かることがない。
「ここも結構探索出来てきたなぁ。地図通りって言っても、森の中だからあまり分からないんだよね」
王都内で買った地図を広げても、自分が森のどこにいるかが、なんとなくしか分からないので、正直意味がない。
「でも、森の一角が開けてるんだよね。ここの建物は気になるんだよね」
地図には森の中に、建物があるような描写がある。そこを目指して、この一週間行動しているんだけど、未だに辿り着けない。方角とかは合っているはずなんだけど、何かに邪魔をされているのか一向にその姿形を見る事が出来ない。どうしたものかと、頭を悩ませていると、
「!!?」
気配感知に、黒獅子以上の反応がした。ここでの探索をしてきて、初めての反応だ。ゲームの世界だというのに、脂汗が出る感覚がする。
(……今すぐ逃げるべきなのかな。いや、私はここで死んでもデスペナだけで済む。今は、少しでも情報を手に入れる事を優先してみよう)
私は、気配を感じる方向に、ゆっくりと向かう。取りあえず、その姿を先に確認しようと思ったからだ。気配に近づいていくと、気配の持ち主が、いきなりこっちに向かってきた。
「嘘!? こっちは、色々なバフがあるんだよ!?」
気配が接近してくる速さは異常だ。確実に私よりも速い。これじゃあ、絶対に逃げ切れない。つまり、戦うしかない。黒闇天を手に持ち、もう片方の手には、吉祥天でも黒影でもハープーンガンでも、何でも持てるようにしておく。
呼吸を整えて、枝の上で待っていると、地上を走っている音が聞こえた。その足音は、あまり軽いものとは言えなかった。
「あれは……」
私の眼には、黒い鎧を着た騎士の姿が見える。気配感知で反応しているのは、この人みたいだ。ということは、戦わないで良いかもしれない。
私が気を抜いたと同時に、黒い騎士が跳躍した。私の目の前まで。
「なっ!?」
直線距離で二十メートル近くあったはずの距離が一気に縮められてしまった。黒い騎士は、これまた鎧に似た黒い剣を抜いて、斬りかかってきた。
「!!」
黒羽織と夜烏を硬化させる。アーニャさんの強化によって、普通の剣なら止められるはずだけど、この剣は違うらしい。
「痛っ!」
黒羽織と夜烏を斬り裂かれた。この人の剣、ジークの聖剣よりも強い。すぐに黒闇天の引き金を連続で引いていく。騎士は、鎧を着ているとは思えない程、素早く回避していった。
「なんなの!? 私は、別に敵じゃない!」
「…………」
騎士は、無言で剣を構える。どうやら、話し合いは通じないみたい。この騎士が、どこの誰かは分からないけど、やるしかないみたいだ。
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